『メソポタミア神話』の概要や歴史を簡単に解説してみた!

メソポタミア神話を徹底解説!旧約聖書との繋がりとは?

メソポタミア神話は、

たちが信仰した宗教です。

メソポタミア(現在のイラク、クウェート、トルコ南東部、シリア北東部周辺)と呼ばれる地域で、紀元前4000年あたりに有名な宗教でした。

そんな最古のメソポタミア神話とは、一体どんな宗教だったのでしょうか?

メソポタミア神話の概要

メソポタミアでは、人は神により造られました。

神々は命の源という考え方なので、病気や健康、人の運命さえも左右すると信じられていました。

また、人は神々に仕えるものとして造られたので、

  • 神:リーダー(長)
  • 人:使用人(奴隷)

と見なされていました。

人にとって神は身近な存在でもあり、畏れでもあったのです。

宗教や儀式は義務のようなものでしたが、信仰する神を乗り換えるようなこともあったので、そこまで厳しくはなかったのかもしれません。

  1. 神々への信仰の対価:成功や長寿
  2. 罪(自分本位に生きること):神々の怒りを買う行為
  3. 罰:病気や不運(無意識のうちに人は罪を犯しうるもの)

これらの考え方は国や歴史にも当てはめられ、戦争や自然災害は神からの罰として扱われていました。

一方、性に関しては寛容でした。

バビロンでは、

  • 同性愛
  • 異性装
  • 娼婦
  • 男娼

が受け入れられていたのです。

性の女神で代表的なのが、イシュタル女神です。

彼女のために、「性的逸脱」の祭祀が捧げられていました。

性的逸脱とは、

人々画像

イシュタルに禁じられているものは何もない

と考え、規範の性を超えた事をあえて行うことです。

この事により、人目を気にしている日常から、新たな世界へ至ると信じられていました。

旧約聖書と関係があった?

宗教の共有していた価値観の多くや教義の込み入った内容は、長い年月と共に忘れ去られています。

しかし、多くの文献は残っているので、それら文献を再構築する事によって、メソポタミアの宗教が後の宗教に大きな影響を与えていた事が分かります。

  • ユダヤ教
  • キリスト教
  • マンダ教
  • イスラム教

などの一神教にも、その影響は及んでいます。

最古の文字が楔形文字と言われているので、メソポタミアの宗教は文字として残された最古の宗教と言えます。

ある学者はメソポタミアの人々について、

学者画像

彼らの残したほとんど全てから、彼らの宗教観について知ることができる。すっかり信仰に染まった人々であったのであろう

と言っています。

文字の文献が多く残されている中で、宗教関係がほとんどだった事からかなり信仰心の熱い人たちが多かったのでしょうね。

さらに、メソポタミアの宗教は旧約聖書を通じて現代の世界に支配的な影響を与えています。

旧約聖書のストーリーは、初期のメソポタミア神話が由来している可能性があります。

特に『ギルガメシュ叙事詩』は

が元になっていると考えられています。

そんなギルガメシュ叙事詩についてさらに詳しく知りたい方は、

こちらの記事も併せてお読み下さいませ。

聖書の中の人物にも、

  • アッカドのサルゴン王の出自=モーセの出自(2人共生まれてすぐ川に流される等)
  • アッシリアバビロニアの律令=モーセの十戒

といった多くの共通点が見られます。

メソポタミア神話の歴史

メソポタミア神話は多神教で、2,100の神々が信仰を集めていました。

数千年も生き残り続けたこの宗教も、どんどんと衰退して行き、

  • 東方教会
  • ユダヤ教
  • マニ教
  • グノーシス主義

に取って替わられて行きました。

そんなメソポタミアの宗教は、統制や体系化がされていません。

さらに、宗教に関する文献(聖典)がメソポタミアの世界でどのような役割を持っていたのかが分かってません。

なので、この分野の研究は非常に困難となっています。

シュメール神話

メソポタミア神話に大きく影響を与えた人類初の神話と言っても過言ではありません。

シュメール神話について詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読み下さい。

バビロニア神話

宗教が身近な存在であった世界こそが、バビロニアの世でした。

バビロニアもまた、シュメールの神々を信仰しました。

また、シュメール時代から神々と人間の間を取り次ぐ「個人神」という存在もいました。

アッシリアの宗教

アッシリアでは、政治の統治システムがしっかりとしていました。

なので、今までの君主制の王(人間)が神みたいにはなりませんでした。

  • 都市の土地神アッシュール(リーダー)
  • 人間の王(副リーダー)

みたいな関係で、司祭が

司祭画像

神々は現在の支配者に満足している

と人々を納得させていれば、王の権威は絶対的でした。

このシステムは、小さい都市国家に住む人々にとって斬新でした。

一方、バビロンの守護神マルドゥクとは、常にライバル関係にありました。

その後のメソポタミア

メソポタミアが終焉した後、紀元前330年にはマケドニア王国アレクサンドロス3世アケメネス朝ペルシアを打ち破り、メソポタミアを支配しました。

この間でも、バビロニアアッシリアは何とか生き残ります。

紀元後1世紀になると、キリスト教ユダヤ教が次第に普及し始めます。

この時代には、

  • グノーシス主義
  • サービア教
  • マンダ教

など他の宗教も注目を集めました。

その中でも、メソポタミア土着の信仰は庶民の間に残りました。

3世紀には、様々な宗教とメソポタミア土着の要素も含んだマニ教が生まれ、新しいメソポタミア土着の宗教となりました。

アッシュールへの信仰は、少なくとも17世紀まであったようです。

特にアッシリアは、メソポタミアとキリスト教の宗教が混ざった中心地でした。

しかし、7世紀にイスラムを信仰するアラブ人達によりイスラム教が取って替わりました。

そして、700年の間にアッシリア人は、マイノリティへと追いやられていったのです。

14世紀には、ティムールによりアッシリア人の虐殺がありました。

都市アッシュルが放棄され、それ以来アッシリア人は表舞台から姿を消したのです。

しかし、現在でもアラブ化に抵抗した新アラム語を話す人はわずかにいます。

彼らはキリスト教徒ですが、新アラム語はメソポタミアの言語に多くの起源を持ちます。

また、子供の名前には古代からの名前を使ったり、アッシリア歴を未だに使ったりと、今でもメソポタミアの宗教は生き残っているのです。

ちなみに、メソポタミア神話の神々の特徴について書いた記事もありますので、

よければ、こちらの記事も読んでみて下さい。

また、メソポタミア文明の特徴についてさらに詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読み下さい。


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参考:『メソポタミア神話』・『バビロニア