
モーセと言えば、海が割れるシーンが有名です。
そのシーンが描かれているのが旧約聖書の『出エジプト記』です。
出エジプト=エジプトからの脱出なのですが、

なぜモーセはエジプトを脱出しなければならなかったの?
と思う方もいるでしょう。
この記事では、
『出エジプト記』で描かれるモーセの生涯についてのあらすじ
をご紹介します。
モーセ、ナイル川に流される
始まりはモーセが生まれるところからです。
モーセはイスラエル人(ここではヘブライ人とも言います)のレビ族である
- 父:アムラム
- 母:ヨケベド
との間に生まれます。
また、モーセには兄と姉がいたようです。
モーセが生まれた当時、エジプトのファラオ(王)はこう考えていました。

最近、ヘブライ人増えすぎだろ。これ以上増えても困るし、これから生まれてくるヘブライ人の男児は殺してしまおう
そしてそのまま

ヘブライ人の男児は殺せ
という命令が出されてしまうのです。
モーセも本来であれば殺されなければならないのですが、なんとか隠れて育てられていました。
しかし、それも限界をむかえモーセはナイル川に流されることになりました。
かごに入れられたモーセは川を下っていきました。

あら?あれは一体何かしら?
そんなモーセを救ったのはなんとファラオの王女です。

川から男の子が流れてくるわ
王女はモーセを川から引き上げました。
そしてその男の子を『モーセ』(ヘブライ語で「引き上げる」を意味します)と名付けました。
そして、モーセの姉の機転のおかげで、実の母親であるヨケベドは乳母として王女に雇われることが出来たのでした。
モーセ、人を殺してしまう
成長したモーセはある日、エジプト人がヘブライ人に虐待しているところを見てしまいます。

何しているんですか!
モーセはなんとかヘブライ人を助けようとしました。
すると、モーセは誤ってエジプト人を殺してしまいました。

あの人殺しを捕まえろ!
この殺人がファラオにバレてしまい、命を狙われたモーセはミディアンの地(アラビア半島)に逃げ込みます。
そして、そこで出会ったツィポラという羊飼いの女性と結婚し、モーセ自身も羊飼いとしてそこで暮らしました。
モーセ、神に語りかけられる
羊飼いとして平穏に暮らしていたモーセはある日『燃える柴』の中から神に語りかけられるという経験をします。

モーセよ、そなたには使命がある。ヘブライ人を約束の地へと導くのだ

な、なんと!

大丈夫、そなたなら出来る!もしそなたが預言者として疑われてしまった時のために我から3つのしるしを与えよう
そうして神様はモーセに以下の3つのしるしを与えました。
- 杖が蛇になる
- 手が頼病(レプラ)で雪のように白くなる
- ナイル川の水が血に変わる

ありがとうございます、神様。私の使命を果たせるよう頑張ります!

ふむ、よろしく頼むぞ
こうして、モーセは神よりイスラエル人を導くよう使命を言い渡されたのでした。
モーセ、『杖が蛇になる』使う
神から使命を受けたモーセはさっそく兄のアロンと共にファラオに会いに行き、ヘブライ人がエジプトから退去する許しを求めました。

私は神に託されたのです。私は預言者です。その証拠にほら!私の杖が蛇に変わりました
モーセは神から与えられた『杖が蛇になる』をさっそく披露しました。
しかし、ファラオは驚きません。

それくらいうちの配下の魔術師にも出来るわ!

えぇ!
結局、ファラオはヘブライ人がエジプトを出ることを認めませんでした。
エジプトに『十の災い』が起こる
『杖が蛇になる』のしるしが失敗してしまったモーセは次に『ナイル川の水が血に変わる』を使いました。
この事を契機に神様がエジプトに対して施したとされる『十の災い』が始まります。
『十の災い』とは、以下の十個です。
- ナイル川の水を血に変える
- 蛙を放つ
- ぶよを放つ
- 虻を放つ
- 家畜に疫病を流行らせる
- 腫れ物を生じさせる
- ひょうを降らせる
- 大量のバッタを放つ
- 暗闇でエジプトを覆う
- 長子を皆殺しにする
最後の『長子を皆殺しにする』はファラオの息子も含めた全てのエジプトの初子が無差別に殺害されました。
これらの災いにより、

仕方ねぇ、ヘブライ人達はエジプトを出てもよい
とさすがのファラオも認めたのでした。
エジプト脱出の出来事を祝う祭り
エジプト出発の夜、ヘブライ人の人々は神様の指示通り、子羊の肉と酵母を入れないパン(タネなしパンと呼ばれます)を食べました。
そして、神様はこの出来事を記念として

今後も行うように
と命じました。
それが現在でもユダヤ教徒が祝う『過越祭』になっていくのです。
過越祭を含むユダヤのお祭りをまとめた記事もありますので、
ユダヤ教の三大祭りとは?【過越・仮庵の祭り・七週の祭り】
ユダヤ教にとって重要な三大祭り。それは、過越祭・仮庵の祭り・七週のお祭りです。それらの祭りについて、この記事では分かり易く解説しています。海を割った事で有名なモーセが登場する旧約聖書の『出エジプト記』との関連性も書いてますよ!
どうぞご覧ください。
また、キリスト教ではこの出来事をイエス・キリストの十字架上の死の予兆とされています。
さて、いざモーセを含めたヘブライ人がエジプトを出ると、ファラオは心変わりをして、戦車と騎兵からなる軍勢を差し向けました。

ちょっ、モーセさん、敵兵が向かってるんですけど!こんなの聞いてないっすよ!

に、逃げるぞ!
しかし、追っ手を振り払うように進むモーセ達の目の前に絶望的な光景が広がります。

海だ…
そこにはただ広大な海が眼前に広がっていたのでした。
モーセ、海を割り奇跡を起こす
人々は海に追い込まれるという絶望的状態に陥りました。

こんなことならエジプトで奴隷をしている方がまだ良かった
中には不満を漏らす人までいます。
その時、モーセが手にしていた杖を振り上げました。
すると、海の水は大きく割れました。

おいっ、どういうことだ!水が割れているぞ!これなら海を渡れるかもしれない
人々は急いで海を渡りました。
しかし、後を追ってきたファラオの兵は海を渡ることが出来ず、そのまま海にのみこまれてしまいました。
モーセ、神から十戒を受ける
無事に追手をまくことができた人々は荒れ野の中を歩き続けました。
そして人々がシナイ山に近付くと、神が山上に現れ、モーセがそこで十戒を託されるのです。
十戒についてはこちらの記事にて詳しく書いていますので、
モーセの十戒とは?10の意味する内容を分かりやすく解説!
「モーセの十戒」ってたまに聞くけど、結局どんな教えなの?と考えているあなた!ぜひこちらの記事を読んでみて下さい。旧約聖書『出エジプト記』を元に、分かりやすく簡単に預言者モーセの十戒をまとめていますよ!
こちらをご覧ください。
この十戒を受けたところで、『出エジプト記』のモーセのお話は終わっています。
モーセの最期は旧約聖書の『申命記』に描かれていますが、結局モーセは約束の地に入ることは出来ず、120歳で亡くなっています。
モーセについてさらに詳しく知りたい方は、
モーセとは?イスラム教の逸話や性格を簡単にまとめてみた!
モーセが登場するのは、旧約聖書だけじゃない?!なんとイスラム教の聖典『クルアーン』にも登場していました。イスラームにおけるモーセとは、一体どういった存在だったのでしょうか?預言者モーセについて分かり易く解説!
こちらをご覧ください。
モーセ亡き後は、その従者であったヌンの子ヨシュアが後継者となって、人々を導いたとのことです。
そんなヨシュアについて書かれている『ヨシュア記』の記事もありますので、
『ヨシュア記』は残酷?あらすじをざっくりと要約して解説!
旧約聖書の『ヨシュア記』ってどんなお話なの?聖書で語られる残酷な戦いの記録とは?モーセの後継者であるヨシュアが聞いた神の声とは?モーセの五書の次に来る旧約聖書『ヨシュア記』のあらすじを分かり易く解説しています!
よければこちらをご覧ください。
こちらのお話以外にも、旧約聖書には『モーセ五書(トーラー)』というモーセに関するお話をまとめた記事もありますので、
『モーセ五書(トーラー)』とは?律法の内容を簡単に解説!
預言者モーセが書いたとされる旧約聖書の『モーセ五書(トーラー)』。律法的な側面も強いと言われる書です。有名な創世記や出エジプト記はもちろん、レビ記、民数記、申命記の5つの書についての内容を分かり易くまとめていますよ!
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