メソポタミア神話『イナンナの冥界下り』のあらすじを解説

メソポタミア神話『イナンナの冥界下り』のあらすじを解説

イナンナはメソポタミア神話の中で性愛と戦いの女神とされていて、バビロニアの全時代を通しても最も重要な女神とされています。

そんなイナンナが主役となるストーリーの『イナンナの冥界下り』とはどのようなお話なのでしょうか。

ざっくりストーリーにてお伝えします!

イナンナ、冥界に行く

ある日のこと、地上にいたイナンナは冥界に下ることを決意します。

冥界にはイナンナの姉である冥界の女神エレシュキガルがいます。

しかしこの姉妹、仲があまりよくありません。

イナンナは自身の忠実な従者であるニンシュブルにこう言います。

イナンナ画像

あの気性の激しい姉さんのことだから、私が冥界に行ったらどうなることか分からないわ。もし、万が一私の身に何かがあったらエンリルさんかシンさん、もしくはエンキさんあたりの強い神様に助けを求めてね

ニンシュブル画像

分かりました。どうぞ気を付けて行ってらっしゃいまし

こうしてイナンナは冥界へと旅立つのでした。

エレシュキガル、イナンナの訪問に怒る

エレシュキガル画像

えっ、なんでイナンナが冥界に下ってるのよ!

イナンナの思惑どおり、冥界の女神かつイナンナの姉であるエレシュキガルはイナンナの来訪を快く思いませんでした。

冥界の門は七つありイナンナは門を一つくぐるたびに、身に着けている物を一つ脱がなければなりませんでした。

そして、七つの門全てをくぐった時、イナンナは全裸になっていました。

全裸になったイナンナは勝手に冥界に下ったことについて神々の裁きを受けて、死刑宣告を受けてしまいます。

エレシュキガル画像

死になさい、イナンナ!

姉のエレシュキガルが死の眼差しをイナンナに向けるとイナンナは死んでしまいました。

ニンシュブル、神々に助けを求める

ニンシュブル画像

イナンナ様が帰ってこない。これは絶対に何かあったに違いないわ!

ニンシュブルは最初に言われたとおり、力を持つ神々にイナンナを助けてもらうよう頼みに行きました。

しかし、エンリルとシンはこの頼みを拒みました。

最後の頼みの綱であるエンキは自らの爪の垢からクルガルラ(泣き女)とガラトゥル(哀歌を歌う神官)を作り出して、こう言いました。

エンキ画像

お前たち、この『命の食べ物』と『命の水』を持って、エレシュキガルの元へ行きなさい。そしてこれらを差し出すお礼としてイナンナの死体を貰ってくるのです。イナンナの死体にこの二つをふりかけるとイナンナは生き返るでしょう

エンキの命令を聞いてクルガルラとガラトゥルはその通りに行うと、本当にイナンナは生き返ったのでした。

イナンナ、身代わりを探す

クルガルラとガラトゥルのおかげで生き返ったイナンナでしたが、問題が一つありました。

それは冥界の神々より生き返るのならば誰か身代わりを寄越せと言われていたからでした。

イナンナにはガルラという精霊がとりつきました。

イナンナ画像

さて、困ったわ。誰を身代わりにしたらいいのかしら

イナンナはまず最初にニンシュブルの元に行きました。

ニンシュブル画像

イナンナ様!生き返ったのですね!

ニンシュブルは喪に服していながらも、イナンナが生き返ったことを喜びました。

ガルラ画像

こいつを身代わりにするのか?

ガルラはニンシュブルを連れて行こうとしましたが、イナンナがそれを押しとどめました。

イナンナ画像

待って。彼女は私を生き返らせるためにとても動いてくれたわ。彼女は身代わりにできない

それからイナンナは様々な神に出会いましたが、皆イナンナが死んだと思い喪に服しており、生き返ったイナンナの姿を見ると喜びました。

イナンナ画像

いよいよ困ったわ。誰かを身代わりになんて、とてもじゃないけど出来ないわ

イナンナは困ってしまいました。

ドゥルジ画像

あれ、イナンナじゃないか?

そんな時、イナンナの夫であるドゥルジに出会いました。

ドゥルジは喪に服した様子はなく、なんなら着飾っていました。

その旦那の様子を見たイナンナはブチ切れます。

イナンナ画像

あんた私が死んだっていうのに、何いつも通りなのよ!もういい、彼を身代わりにするわ

こうしてイナンナは生き返る身代わりに夫であるドゥルジを選びます。

ドゥルジ、逃げる

イナンナに冥界行きを告げられた旦那のドゥルジはとにかく逃げます。

ドゥルジ画像

姉ちゃん!助けてくれ!

ドゥルジは姉のゲシュティンアンナの元へと助けを求めますが、見つかってしまいます。

結局、ドゥルジと姉のゲシュティンアンナが半年ずつ交代で冥界に下ることになるのです。

イナンナ以外のメソポタミア神話の神々についてご紹介した記事もありますので、よろしければ併せてご覧ください。


参考:イナンナ