ヒンドゥー教のヴィシュヌ神はなんの神?簡単にまとめてみた

ヴィシュヌ画像

ヴィシュヌ神ヒンドゥー教の主神の一人であり、妃である女神ラクシュミーや多くのアバター(化身)とともに、ヒンドゥー教の主要な神です。

プラーナ文献によると、地上に現れたヴィシュヌのアバターは数え切れないほどたくさんいます。

※プラーナ文献とは、ヒンドゥー聖典の総称である。「古き物語」を意味する。

アバターで最も有名なものは、「マハーバーラタ」のクリシュナや「ラーマーヤナ」のラーマでしょう。

この記事ではヴィシュヌはどのような神かを簡単にまとめてみました。

ヴィシュヌとは何者か?

ヴィシュヌは、ヒンドゥー教最高神です。

宇宙の秩序とバランスを保つ役割を担っている為、

  • 保存者
  • 維持者
  • 守護者

としても知られています。

世界が悪の脅威にさらされた時や混沌に陥った時、破壊的な力に脅かされた時に様々なアバター(化身)を使い分け、地上に現れるとされています。

また、ヒンドゥー教の最も影響力を持つ3柱の主神の1人であり、人類の守護者として、地球の生命とバランスを保っています。

シヴァ、ブラフマー、ヴィシュヌは3柱の重要な神とされている。三神一体またはトリムールティというヒンドゥーの理論の1つ。

ヴィシュヌという名前は、「広く浸透する」という意味があると言われています。

ある中世インド学者はヴィシュヌという意味を

学者画像

どこにでも存在し、全ての中に存在する者

と考えいています。

さらに、サンスクリットの賛美歌「ヴィシュヌ・サハスラナーマ」にはヴィシュヌの1000の名前のリストがあります。

特に有名なものは『マハーバーラタ』に収められているとされています。

ちなみに、ヴィシュヌを祀(まつ)る寺院は数多くあります。

最も有名なものはバドリナート寺院で年に7000人から10,000人の巡礼者があると言われています。

ヴィシュヌの姿とは?

青い肌の色をしており、4本の腕を持つ姿で描かれます。

ヴィシュヌの姿

その他にも以下のような特徴があります。

  • 右脇の法螺貝(ほらがい)
  • 左側の円盤
  • 左手に持つメイス(ガダ)
  • 右手の上の(シャンカ)
  • 右下の(パドマ)

ヴィシュヌの10大アバター

ヴィシュヌのアバターは無数に存在すると語られていますが、中でも10のアバター、すなわちダシャーヴァターラは重要なものとして特に信仰されています。

それでは、10のアバターをざっくり見ていきましょう。

マツヤ

ヴィシュヌの最初のアバターです。

半魚半人の姿をしています。

マツヤは大洪水が起き、すべての命が破壊されることを予言しました。

そして、ヴェーダ(知識)の舟を作り、マヌ(人間の祖先)とすべての生物を救ったとされています。

クールマ

の姿のアバターです。

宇宙を支える亀であり、乳海攪拌(にゅうかいかくはん)の際には不死の霊薬アムリタを得るために蛇神の諸王を手伝ったとされます。

※乳海攪拌はヒンドゥー教における天地創造神話。

ヴァラーハ

イノシシの姿のアバターです。

大地の女神がアスラ族(インドにおいて神々と対立する存在)にさらわれ海の底へと連れ去られた時に彼女を追い、見つけ出して助けたとされています。

ヴァーマナ

小人の姿のアバターです。

アスラの王は不釣り合いに強大な力を得て、宇宙の全土を支配し権力を濫用(らんよう)しました。

僧侶の格好をしたヴァーマナを見たアスラの王は、自分の力を誇示しようと考え、この僧侶に施しを与えることを思いつきました。

アスラの王はヴァーマナに

阿修羅画像

なんでも望むものを与えてやろう

と持ち掛けました。

ヴァーマナは、

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3歩分の土地を貰いたい

と頼みます。

アスラの王は承諾しました。

するとヴァーマナは巨大化し、最初の1歩目で大地を跨ぎ、2歩目で天界を踏みました。

もはや3歩目を踏み降ろす場所を無くしたヴァーマナの前に、

阿修羅画像

最後の3歩目の領地は自分の頭をお使い下さい

とアスラの王は「3歩目の領地」として最後に残された領地である自身の頭を差し出しました。

僧侶画像

ほう、そなたにそんな道徳心があったとは

とヴァーマナは感心し、アスラの王に地底世界の領地を与えました。

ナラシムハ

半獅子(ライオン)半人のアバターです。

アスラの王は苦行をブラフマーに認められ、1つの願いを叶えてもらいました。

その内容は以下です。

神とアスラにも、人と獣にも、昼と夜にも、家の中と外にも、地上でも空中でも、そしてどんな武器にも殺されない体

調子に乗ったアスラの王は人々を迫害し始めました。

アスラの王はナラシンハに独創的な方法で特殊能力を破られ、仕留められてしまいました。

パラシュラーマ

斧を持った聖者(リシ)の姿のアバターです。

インド神話の大英雄であり、神話最強の英雄とされています。

数々の英雄に矢や奥義を授けています。

一部の戦士たちが極端に力をもち、己の楽しみの為に人々の財産を奪うようになってしまいました。

その時斧をもったパラシュラーマが現れ、邪悪な戦士たちを滅ぼしたと言われています。

また、パラシュラーマは多くの人を殺してしまったため天には帰れず、今もどこかで生きているとされています。

ラーマ

インド2大叙事詩の『ラーマーヤナ』の主要なキャラクターです。

ラーマーヤナでは、ラーマ王子が誘拐された妻シーターを奪還すべく大軍を率いて、鬼神の王に挑む姿を描いています。

ラーマーヤナ』ついてはどうぞこちらの記事をご覧ください。

クリシュナ

人間の形をしたヴィシュヌのアバターです。

クリシュナはヴィシュヌの最も有名なアバターです。

瞑想、奉仕、愛、無執着の重要性を説きました。

クリシュナについて詳しく知りたい方はどうぞこちらの記事をご覧ください。

また、『マハーバーラタ』、『バガヴァッド・ギーター』の主要なキャラクターです。

内容が気になる方はどうぞこちらの記事をご覧ください。

ブッダ

ヒンドゥー教では、ブッタをヴィシュヌのアバターの1人と見ています。

その理由として、大乗仏教の教義がヒンドゥー教に取り込まれ、ヒンドゥー教の1宗派として仏教が扱われるようになったからです。

大乗仏教とは、伝統的にユーラシア大陸の中央部から東部にかけて信仰されてきた仏教の宗派。

ブッタは偉大なるヴェーダ聖典を悪人から遠ざけるために、あえて偽の宗教である仏教を広め、人々を混乱させるために出現したとされています。

ヴェーダとは紀元前1000年頃から紀元前500年頃にかけてインドで編集された一連の宗教文書の総称。「ヴェーダ」は「知識」の意味。

カルキ

翼の生えた白馬とともに現れる最後のアバターです。

宇宙を更新するためにカリ・ユガの終わりに現れ、新しい時代を築きます。

※カリ・ユガとは、インド哲学において循環すると考えられている4つのユガのうち、最後の段階である。ユガのサイクルは季節のように繰り返すと言われる。また春夏秋冬のように、それぞれのユガは段階を持ち、徐々に移り変わって行く。

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