ティアマトとは?11の怪物を生み出した女神の神話を紹介!

ティアマト神話に登場する11の怪物っぽい画像

ティアマトという言葉を何かしらのゲームで聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

ゲームの中ではキャラクターとして描かれていますが、本来のティアマトをご存知でしょうか?

そう、ティアマトとはメソポタミア神話に登場する神なのです。

神話におけるティアマトとはどういう人物(神物?)だったのでしょうか。

ストーリーでざっくりご紹介します。

ティアマト、アプスーの子をたくさん産む

ティアマトのお話が出てくるのは『エヌマ・エリシュ』 (Enûma Eliš) というバビロニア神話の創世記叙事詩です。

その冒頭がこちら。

上にある天は名づけられておらず、

下にある地にもまた名がなかった時のこと。

はじめにアプスーがあり、すべてが生まれ出た。

混沌を表すティアマトもまた、すべてを生み出す母であった。

水はたがいに混ざり合っており、

野は形がなく、湿った場所も見られなかった。

神々の中で、生まれているものは誰もいなかった。

— 『エヌマ・エリシュ』冒頭部

どうでしょうか。

まだ天も地も出来てない頃、真水を司るアプスー、塩水を司るティアマトだけが存在していました。

ティアマトはすべてを生み出す母ですので、アプスーが夫ということになります。

そしてこの夫婦が多くの子ども(神)を生み出すことになるのです。

アプスー、子ども達を殺そうとする

子ども達も多く生み出し、なんだったらその子どもが更に子どもを生み出し、多くの子孫が二人には出来ました。

しかし、ここで問題が発生します。

ある日、アプスーがこんなことを言い出したのです。

アプス画像

いやもうマジであいつらうるさすぎだろ!昼も夜も騒ぎやがって、そのせいでこっちは睡眠不足だっつーの。あいつら黙らすために、いっちょ殺していい?殺したらまた静かな生活に戻れんだろ

ティアマトはビックリです。

ティアマト画像

あんた、何言ってんのよ!私が産んだのよ!確かにあの子たちの行動には私も思うところはあるけれども…。とにかくここは我慢して優しくしてあげましょうよ

ティアマトは夫であるアプスーを止めましたが、アプスーは殺害計画を実行しようとしました。

しかし、結局は知恵の神であるエアに見つかってしまい、逆に殺されるという返り討ちにあいます。

エアはアプスーの体の上に自らの神殿エアブズを建設し、妃のダムキナとの間にマルドゥクという子どもが生まれます。

このマルドゥクはこの物語の主役となる超重要人物です。

ティアマト、復讐を決意する

マルドゥクが誕生し、彼が4つの風で遊び騒ぎ立てたため、今まで以上に騒がしくなり、ティアマトの配下達からも批判があがります。

夫も殺されたこともあり、ついにティアマトは自分たちの子孫である若い神々への復讐を決意します。

ティアマト画像

ここまできたら仕方ないわね。それにしても、戦いを選んだからには準備をしっかりしないと

ティアマトは第二の夫であるキングー(実はティアマトの子どもでもあります)に「天命の書版」なる神威の象徴を託します。

この「天命の書版」は本来エンリル(最高権力神)が持つ「生けるもの全ての個人情報」が記された印版です。

そして、ティアマトは血ではなく毒で満たした11の怪物たちを生み出し、着実に戦いへの準備を進めていました。

一方、若い神々の代表にあのマルドゥクがたち、ティアマト討伐へと向かいます。

マルドゥクに対峙したキングーはマルドゥクの圧倒的な威厳のある姿に戦意喪失してしまい、「天命の書版」も奪われてしまいます。

そして遂にマルドゥクはティアマトを追い詰めます。

ティアマトは一人でマルドゥクに挑み彼を飲み込もうとしましたが、飲み込もうと口を開けた瞬間にマルドゥクが送り込んだ暴風によって口を閉じられなくなり、その隙を突いたマルドゥクはティアマトの心臓を弓で射抜いて倒されてしまいます。

とにかくこのマルドゥクが強い!

こうしてティアマトの復讐は果たされませんでした。

ティアマトに勝利したマルドゥクについて詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読み下さい。

ティアマトの亡骸が天地となる

マルドゥクはティアマトから天地創造キングーから人間創造を行います。

ティアマトの死体は二つに引き裂かれてそれぞれが天と地になり、乳房は山となりました。

そしてティアマトの眼からはチグリス川とユーフラテス川の二大河川が生じたとされます。

また、マルドゥクは神々の労働の肩代わりをさせるために、キングーの血から人間を創造しました。

こうして全ての始まりの母、ティアマトは世界の礎となったのでした。

他のメソポタミア神話の神々についてご紹介した記事もありますので、

よろしければ併せてお読み下さい。


参考:『ティアマト

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