マルドゥクとは?バビロニアの国家神の神話を簡単に解説!

マルドゥク画像

マルドゥクは、古代メソポタミア神話の特にバビロニア神話などに登場する男神です。

また、バビロンの都市神でバビロニアの国家神でもあります。

後にエンリルに代わって神々の指導者となります。

メソポタミア神話で有名なエンリル神について詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読みください。

バビロニアの宗教の主神の一人として、マルドゥクは彼らの文化を形成する上で重要な役割を果たしました。

この記事では、マルドゥクについてや、彼にまつわる有名な神話について見ていきます。

このマルドゥク神についてもっと知るために、ぜひ読み進めてみてください!

マルドゥクとは?

マルドゥクは、あくまでバビロンの都市神でしかありませんでした。

彼がパンテオン(すべての神々)の主神の座に就けたのは、ひとえにバビロンの台頭バビロン王朝の誕生によるものなのです。

一時混乱状態にあったバビロニア地方を収拾し統一したハンムラビ

彼が国権や治安の強化に乗り出す中で、バビロニアの都市神であるマルドゥクを主神とする働きが起こります。

人々画像

地上を治める王権は神から貸与されるもの

という当時の古代メソポタミアの思想により、守護神が権力を増すことは国の支配権を確立する上でとても重要なことでした。

ハンムラビ法典には、

アヌとエンリルからマルドゥクが権力を譲渡された

といった内容が記されています。

マルドゥクの特徴

メソポタミア神話に語られる神々は大半が擬人化されているが、マルドゥクに至ってはこれに限ったことではなく、その姿は異相であった。

マルドゥクの容姿の特徴を挙げると以下になります。

  • 4つの目と耳(もしくは2つの頭)
  • 唇が動けば火を吹き出す
  • 背は神々の中で最も高い
  • 両手両足が長い

もっとも、現在に残っている図像では冠を被り髭を生やした男性として描かれています。

マルドゥクの神話

マルドゥクの英雄神らしい神格を最も表している神話は、バビロニアの創世神話として名高い『エヌマ・エリシュ』です。

マルドゥクの英雄的活躍と、彼が至高神に至るまでの過程が描かれています。

エアの息子マルドゥク

母なる原初の女神ティアマトが次々と誕生させた子どもがうるさく騒ぎたてるので、

アプス画像

あんなうるさい奴ら、殺してやる…!!

とティアマトの夫アプスは彼らを殺害しようとしました。

ところがアプスは、息子の1人であるエアの策謀により敗れてしまいます。

そんな父殺しのエアに生まれた子どもがマルドゥクだったのです。

ティアマトvsマルドゥク

ティアマト画像

私の愛しい息子キングーよ。お父さんの仇を取ってちょうだい!

と夫を殺害されたティアマトは、息子(あるいは夫の1人)であるキングーに「生けるもの全ての個人情報」が記された天命の粘土板を与えます。

また、キングーを11の怪物たちの指揮官にも任命します。

そして、彼女自身の子どもたちである若い神々に戦いを挑むのです。

若い神々の側にはエンリルによって指名を受けたマルドゥクが先頭に立ちます。

彼は圧倒的な力でティアマトらを撃退し、キングーから天命の粘土板を奪い勝利を収めました。

敗者と勝者の末路

討たれたティアマトは体を引き裂かれて天地創造の礎となり、キングーはエアによって処刑され、その血は人類創造の材料にされたと言います。

こうして天地の秩序を確立したマルドゥクはエンリルに代わって神々の王となります。

さらに、50の称号を与えられると共に「神々のエンリル神(最高神)」と呼ばれるようになったのです。

母なる原初の女神ティアマトについて詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読みください。

マルドゥクのその後

『エヌマ・エリシュ』に伝えられているマルドゥクの英雄的活躍から一変、異の文学性を教えるのが『エラ神話』です。

この説話においてマルドゥクは、老齢に差し掛かって落ちぶれた支配者のように描かれ、若い頃の輝かしさを微塵も残していないのです。

ネルガルに騙されて支配者としての権力を譲渡してしまい、血で汚された自身の神殿には恐れて入ろうともしませんでした。

マルドゥクを騙したネルガルという神はエレシュキガルと大恋愛をします。

ネルガルとエレシュキガルの大恋愛エピソードについて詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読みください。

他のメソポタミア神話の神々についてご紹介した記事もありますので、

よろしければ併せてお読み下さい。


参考:『マルドゥク

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