成人の日は、法律で定められた成人年齢に達した人を祝う伝統行事です。
この日は、子供から大人への移り変わりを振り返り、喜び、そして祝うのです。
成人式では、主に女性は着物、男性はスーツという正装で役所を訪れます。
成人式の挨拶を聞き、その後に、友達との写真撮影などを行います。
そんな成人式についてや歴史、現在の問題について分かりやすく解説してみました!
成人式とは?
成人式とは、年度内に成人となる人々を義務教育を受けるべき年齢ごとに、日本の各地方自治体が祝福する行事です。
1月の第2月曜日(成人の日)に行われます。
講演会を開いたり、記念品を贈ったりします。
2022年(令和4年)4月1日に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたので、
- 引き続き20歳にする自治体
- 18歳に引き下げる自治体
と成人式の対象年齢を以上のように分けることが出来ます。
成人式の由来
成人式のルーツは、第二次世界大戦の敗戦間もない1946年に埼玉県で実施された「青年祭」だそうです。
敗戦により無気力な状態であった当時の日本の青年たちに、明るい希望を持たせ励ますのがきっかけでした。
その青年祭を企画した際のプログラムに「成年式」がありました。
そして、この成年式が全国に広まり現在の「成人式」となったのです。
この青年祭に影響を受けた日本国政府は、2年後の1948年に以下の祝日法を公布・施行しました。
おとなになったことを自覚し、みずから生きぬこうとする青年を祝いはげます
そして、翌年の1949年から1月15日を成人の日に指定したのです。
そんな成人の日についてさらに詳しく知りたい方は、
成人の日とは?目的や歴史について分かり易く解説してみた!
成人の日は、20歳になったばかりの若者を祝う日本の国民の祝日です。この日、日本中の若者が着物やスーツを着て、地元の市役所に行き、市長から成人証明書を受け取ります。この記事では、日本の成人の日について簡単にご紹介します!
こちらの記事をお読みください。
開催日と開催場所
成人式の式典は、成人の日あるいはその前日(常に日曜日)に開かれることが多いです。
しかし、必ずしもそうでない地域もあります。
成人の日以外での式典開催は、
- ゴールデンウィーク
- お盆(旧盆)
- 正月三が日から松の内
とこういった休日に行う市区町村も多くあります。
多くの場合、その市区町村内で多くの参加者を収容できる多目的ホールや大型体育館が使用されます。
特徴的な開催場所としては地元のテーマパークで開催する自治体もあります。
千葉県浦安市での東京ディズニーリゾートでの成人式の場合は、報道メディアに取り上げられ批判もありました。
なお、成人式の参加に事前の申し込みが必要な自治体もあります。
また、会費制としているところもあります。
成人式ビジネス
成人式では単価の高い和服(特に女性の振袖)を着用する新成人が多いので、和装業界にとっては最大の稼ぎ時です。
日本人の和服離れが進み呉服店が減少の一途を辿る中で、若者に着物の良さをアピールする数少ない機会となっているのです。
近年では男性が紋付袴(もんつきはかま)などの着物で参加する姿も目立ちます。
和服は高価であるため、レンタルや母親からのお下がりで済ませる人も多いようです。
また、和服以外にも以下のような美容業界にとっても成人式の日は稼ぎ時となっています。
- 着付け
- 化粧
- ヘアメイク
成人式の由来となった「青年祭」の参加者の服装は、
- 男性:国民服
- 女性:もんぺ
だったようですが、1950年代後半~1960年代前半に着物業界が成人式に着目したのが和服へ変わるきっかけでした。
第二次世界大戦中に贅沢品が禁じられていたので、当時の着物業界は壊滅状態でした。
なので、戦争後の復興策として、
未婚女性の礼装である振袖を成人式に着てもらおう!
と当時の百貨店が中心に動いたのです。
成人式の問題
成人式には以下の4つの問題があります。
- 趣旨が時代遅れ
- 出席率の低下
- 都市部と郡部
- モラルの低下
趣旨が時代遅れ
アンケート調査によると、
友達同士が再会する同窓会のような行事
と約2~3割の20代以下の若者が成人式についてそう答えています。
スーツや晴れ着を着て、新成人が一堂に会する行事
と20代以下の女性においては、約2割がそう考えています。
すなわち、成人式の本来の趣旨と若者の間の意識に差が出来つつあることを表しているのです。
出席率の低下
1970年代に入ると受験戦争の激化によって浪人が増えました。
さらに、大学入試センター試験と日時が重なって出席しなかった新成人も多くいました。
アンケート調査では、
仕事や勉強などで時間がなかったから
と成人式に参加しなかった理由で一番多かったのはこれでした。
最近では自治体が工夫し、出席率が上昇しているところもあるようです。
都市部と郡部
都市化の進展で、都市部の成人式に出席する若者が増えました。
高校卒業後に大学進学や就職などで都市部に行ってしまう若者が多く、1月15日の成人式だけに帰省するのは困難な状況でした。
なので、郡部(町村を含む行政区画)では夏のお盆期間に成人式をする自治体が増えたのです。
成人の日が第2月曜に移行した2000年頃から、地方ではその前日に行うケースも少なくありません。
モラルの低下
公共事業の予算が増加し続けた1990年後半までに、成人式の式典が充分開催できる施設が都市部では拡がりました。
しかし、1990年代前半が過ぎると、少子化の影響で成人する若者がだんだんと減って行ったのです。
そして、都市部では式典会場の空席が目立つようになりました。
その空席の増加により、本来なら会場内に入らなかったような層が会場内に入れるようになりました。
それまで会場外で行われていて問題とはならなかったような、以下のようなことが明らかになってきたのです。
- 私語が収まらない
- 会場内で携帯電話を使う
- 暴れ回って式を妨害する
公務執行妨害を理由とした事件を中心に、逮捕者が出るほどの騒ぎに発展した市町村もあります。
本来一人前の大人としての決意をすべき場である成人式が、かえって若者のモラル低下を露見させる場となっているのです。
参考:成人式