アブラハムの子どもであるイサクが生まれたのは母親のサラが90歳の時のことでした。
なぜそんなに高齢出産が出来たのか?
そして、アブラハムの子どもを巡る跡継ぎ争いストーリーの凄まじさ。
若干日本の大奥を思い起こさせる女のバトルをざっくりご紹介させていただきます!
ちなみに、アブラハムの生涯をまとめた記事もございますので、
アブラハムってどんな人?何をしたのか分かりやすく解説!
聖書を読んでいると必ず出て来る有名人が「アブラハム」です。旧約聖書の『創世記』の登場人物である彼は最初の預言者であり、「信仰の父」とも呼ばれています。そんなアブラハムの波乱万丈な人生とはどうだったのか?
よろしければこちらもご覧いただけたらと思います。
登場人物紹介
名前 | 人物説明 |
---|---|
アブラハム | 神への信仰が人一倍強い人類最初の預言者。基本的に迷ったら全部神に相談する。 |
サラ | アブラハムの正妻。怒ると制裁が凄まじい。イサクを90歳の時に出産する。 |
イサク | アブラハムとサラの一人息子。神のお告げにより、アブラハムの後継者となる。 |
ハガル | サラの女奴隷。アブラハムの妾となることでイシュマエルを出産する。 |
イシュマエル | ハガルとアブラハムの間に生まれる。生まれる前も生まれてからも何かと事件がある。 |
ケトラ | サラの死後、アブラハムと結婚する。子どもを6人産む。 |
子どもに恵まれないアブラハム
アブラハムとサラの間には長年子どもが恵まれませんでした。
サラが75歳の時に彼女は自らによる出産を諦め、自分の女奴隷であったハガルを妾にするようにアブラハムに薦めます。
当時のこの地方には、不妊の妻が女奴隷を夫に与え、その側女との間に生まれた子どもを自分の子どもにできる風習があったそうです。
ハガル、イシュマエルを妊娠する
ハガルはサラの期待どおりアブラハムの子どもを妊娠することに成功します。
当時おそらくアブラハムの年齢は85歳。
85にして父になるアブラハム。
凄いですよね。
子どもが成人するときにはもう100歳を超えてます。
ハガルが妊娠したことは良かったのですが、サラの誤算だったことが一つありました。
それはハガルが妊娠したことにより、正妻であるサラを見下すようになるんですね。
正妻だろうが子ども(特に息子)を産めない女は能無しと見なされてしまうんですよね。
しかし、サラはここで一人しくしく泣くような女性ではありません。
ふざけんじゃないわよ!
と言ったかどうかは分かりませんが、とにかく夫であるアブラハムに相談…というより、ぶっちゃけ愚痴を漏らします。
すると、アブラハムはこう言いました。
わしは干渉しないから好きなようにしなさい
出たー!我関せず男ー!
嫁が困っているというのに、自分からは何も動こうとしない旦那。
じゃあ、好きにするわよ!
となんと逆にハガルをいじめ返します。
つ、強い…。強すぎるよ、サラ。
具体的にどんな仕返しをしたのかは分かりませんが、サラの虐待によりハガルが逃げ出すほどに徹底的にいじめ抜きます。
妊娠中で逃亡するって相当ハガルも追い詰められていたのでしょう。
サラから逃亡していたハガルの元に天使が現れます。
そして、ハガルの子孫が多くなる事を約束し、サラの元に戻るように諭されます。
このお告げが効いたのか、ハガルはサラの元へと戻り、無事にイシュマエルという男の子を出産します。
サラ、イサクを妊娠する
さて、無事にイシュマエルという跡取りが誕生しましたし、これにて安泰となるかと思いきや、そうはいきません。
イシュマエルが13歳の時、神がアブラハムに現れ以下の事を約束しました。
- アブラハムに多くの子孫が生まれること
- 彼らにカナンの地が与えられること
- サラによって誕生する息子イサクがその地を受け継ぐこと
いくら神様のことを何よりも信じているアブラハムといえ、その時彼はすでに90歳を超えていましたし、サラも80歳を超えています。
なので、アブラハムはすでに誕生しているイシュマエルについての約束の成就を神に祈願しましたが、
イサクについての約束が成就する
とそれでも神はそう念を押すのでした。
この神の言葉どおり、サラが90歳の時に奇跡的にイサクを妊娠するのですが、イサクという名前の意味は「彼は笑う」だそうで、
まさか子どもなんて出来ないだろう
と内心笑っていたサラの行為が由来だと言われています。
サラ、ハガルとイシュマエルを追い出す
さて、イサクという正妻の息子が誕生したことによりサラにとって邪魔な存在が浮き彫りになります。
そう、妾であるハガルとイシュマエルです。
古今東西、跡継ぎ争いは多くの血が流れてきましたが、ここでもしっかりと描かれています。
事の発端はイシュマエルがイサクをからかっている光景をサラが目にしたからということらしいです。
そして、サラはアブラハムにとあるお願い事をします。
ねぇ、あなた。ハガルとイシュマエルを私達の一族から追放して欲しいんだけど
これには流石のアブラハムもビックリです。
一族からの追放て…。もうやることが激しすぎるよサラ。
困ったアブラハムはこのことを神様に相談しています。
そこでなんと神様より、
サラの願いを叶えなさい
というお告げをもらったので、アブラハムはハガルに食料を持たせて、本当に追放してしまうんですね。
これにより、ハガルとイシュマエルは砂漠の中を彷徨うことになります。
水も尽きていよいよ死ぬしかないとなったところで、天使が現れ、その加護により助かることになります。
サラ、127歳で死ぬ
イサクを跡取りにするために死力を尽くしてきたサラですが、寿命が来てしまいます。
サラが死んだのは127歳ですが、アブラハムは175歳まで生きます。
サラが死んでからもアブラハムは約50年は生きるんですね。
そこで、登場するのがケトラという女性です。
ケトラは所謂アブラハムの後妻にあたります。
このケトラ、なんと六人も子どもを産みます。
それぞれの名前が以下です。
- ジムラン
- ヨクシャン
- メダン
- ミディアン
- イシュバク
- シュア
当初、あんなに子どもが出来なくて悩んでいたアブラハムですが気が付けば8人の父親ですからね。
あの悩みは一体何だったのか…。
しかし、この後妻であるケトラの素晴らしいところは跡目争いをしなかったところでしょう。
後妻は遺産に眼がくらむ女というイメージが多い中、ケトラはきちんとイサクをたてています。
アブラハムの莫大な遺産ですが、イサク以外の子どもには生前分与として贈り物を与えて、それぞれを東の地に去らせています。
そして、残りの財産を全てイサクに継がせてアブラハムの175年の生涯は終わります。
ちなみに、イサクは父であるアブラハムに殺されそうになったこともあります。
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