『ギュゲースの指輪』とは?伝説上の指輪の簡単なあらすじ
ギュゲースの指輪とは、伝説上の指輪とされています。なぜなら、自在に姿を隠すことが出来ると言われているからです。
リュディア(現在のトルコ)のギュゲスという人物が手に入れ、その力で王になったと言われています。
また、プラトンの著作『国家』でギュゲスの指輪を元に議論が展開されています。

指輪の所有者はいつでも透明になれるから、不正を犯してもその罪が発覚することってないじゃん?人から何も言われないけど、果たして人はその中で正義を貫くことが出来るかな?
という事が、その中で検討されています。
そんなギュゲースの指輪のあらすじについて、詳しく解説して行きたいと思います。それでは、一緒に見て行きましょう!
ギュゲースの指輪のあらすじ
プラトンの『国家』の中に、ギュゲースの指輪のあらすじが簡単に書いてあります。
ギュゲスという羊飼いがある時、地震によって開かれた洞窟に入り、青銅の馬を見つけました。
馬の体の空洞には、金の指輪を付けた死体がありました。この指輪を内側に回すと周囲から姿が見えなくなり、外側に回すと見えるようになるという不思議な力を持っていました。
さて、そんな指輪を手に入れたギュゲスは、その後に王の使者となります。そして、宮殿に入り王妃に近付いて不倫します。
そこから、二人で密かに計画して王を殺し、ギュゲスは王位を奪ったのです。
ヘロドトスが語るギュゲス
ヘロドトスの『歴史』には、先ほどの透明になる指輪の話はありません。ですが、このギュゲスという人物についての話は語られていました。
カンダウレス王の妻の自慢
ある日、リュディア王国の最後の王であるカンダウレスは、

私の妻は女の中で最も美しいであろう、ほほほ
と信じて他人に自慢しようとしました。そして、ギュゲスという人物も自慢された一人でした。

陛下、本当にそんなに美しいのでしょうか?私は王妃様を見たことがないので何とも言えませんね
とカンダウレスには、ギュゲスがその美しさを信じないように見えたのです。

良かろう、ギュゲスよ。そこまで言うのなら、私の妻の寝所に忍び込んで裸体を見て来るといい。それならば、その美しさ身をもって分かるだろうよ、ふふふ
とギュゲスに自分の妻の覗き見を強要しました。

えぇぇ、陛下い、良いんですか?え、自分の妻ですよ?!まぁ、陛下がそう言うのであれば、私も拒否は出来ませんが
と言って、指示通り美しいと言われる王の妻の覗き見をしていました。
ギュゲスの覗き見がばれる
ギュゲスが覗き見すると、

え、誰かそこにいるの?
と寝所から出ようとする妻に見つかってしまいます。

す、すみません王妃様…!!

いいえ、いいの。あなたは悪くないわ。きっと、カンダウレスの指示によるものね、そうでしょ?
と妻はとっさに、この覗き見が夫の指示であると察したのです。

こんな事を指示するなんて、カンダウレスは何を考えているのかしら。私を何だと思っているの?考え出したら、何だか腹が立って来たわ!!
とカンダウレスに対する復讐心が芽生えて来たのです。
カンダウレス王の暗殺計画
そして、妻はギュゲスを呼び出し

ねぇ、覗き見のあなた。どうかしら、私と一緒にカンダウレスを暗殺しませんこと?そして、一緒にリュディアを支配するの
と言われたギュゲスは最初こそ躊躇しましたが、

覗き見を行った罪で死ぬか、私とともに国を支配するか。どちらがあなたにとって良いのかしら?
と脅され、ギュゲスは最終的にカンダウレス暗殺を実行したのです。そして、カンダウレスの妻を自らの妃として、ギュゲスはリュディアの王となりました。この時、「ギュゲースの指輪」を手に入れて成功したとする話もあります。
ギュゲスが正統な王となる
カンダウレスの暗殺が、実はギュゲスによるものだったと周囲にバレると、リュディア人達は

そんな偽りの王を認める訳には行くか——!!
と反対します。ですが、ギュゲスは

良かろう、民よ!こうしないか?神託が私の王位を認めたならば、私はリュディア王となる。そうでなければ、王位を返還する。どうだ?民よ
と提案して、その提案を反対していた民は受け入れました。そして、神託の結果ギュゲスの王位が認められます。そこから、ギュゲスの一族に王位が移ったと言われています。
ここまでが、ヘロドトスの『歴史』にあるリュディアの歴史についてです。初期のリュディアについて、唯一まとまった記録として残されています。
ヘロドトスの『歴史』について詳しく知りたい方は、
ヘロドトスの著書『歴史』の内容から分かる5つの思想まとめ
ヘロドトスが残した著書『歴史』により、彼は「歴史の父」と呼ばれます。紀元前5世紀のペルシア戦争を中心に、ペルシアの建国から拡大、オリエント世界各地の歴史、風習や伝説などが載っています。この著書から分かるヘロドトスの思想であったり、彼に影響を与えた思想を、ここでは紹介して行きます!
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