旧約聖書の『ルツ記』のあらすじを分かり易く解説してみた!

ルツ記っぽい画像

ルツ記』は『士師記(ししき)』の次にあたる書で、旧約聖書の中で最も短い書で全4章しかありません。

ちなみに、『士師記』は21章あります。

『士師記』と『ルツ記』は連続している物語という訳ではありませんが、

『士師記』も気になるという方はどうぞこちらからご覧ください。

では、旧約聖書の中で最も短い『ルツ記』とはどのようなお話なのでしょうか?

『ルツ記』あらすじ

『ルツ記』が描いているのはルツという一人の女性の物語です。

『ルツ記』が旧約聖書の中で重要な位置づけである理由はルツが異邦人(イスラエル人=ユダヤ人ではない民族)だということです。

つまり、旧約聖書の中においてもユダヤ人だけではない異邦人にも、神は救ってくれるという神の壮大さを語っているというところが特徴となっています。

ナオミ、ルツと共に旅立つ

あるところにイスラエル人でユダのベツレヘム出身であるエリメレクという男性がいました。

彼は妻であるナオミと二人の息子と一緒にモアブという場所に移り住みました。

この息子はそれぞれモアブの地の娘と結婚しました。

ルツは一人の息子と結婚したモアブの娘でした。

しかし、エリメレクとその息子二人が亡くなってしまい、ナオミとルツ、そしてもう一人の妻であるオルパは全員未亡人となってしまいました。

おばあちゃん画像

私は夫の故郷であるユダに行こうと思います。あなた達も夫を亡くしてしまって…可哀そうだけど、あなた達の故郷に戻りなさい

古代の女性画像

そんな!お義母さん、私はあなたといつまでも一緒にいます!

ルツはナオミのそばにいることを望んだので、ナオミとルツは二人でベツレヘムへと向かったのでした。

ルツ、ボアズに出会う

ナオミとルツがベツレヘムに到着すると、ルツは畑で麦の落ち穂拾いを始めました。

※落ち穂拾いとは、収穫が終わった畑に落ちている落ち穂を拾い集める事です。

古代パレスチナでは貧困者の物乞いとしてこの行為を求められていました。

ルツが落ち穂を拾っていると、彼女に声をかけてくる男性がいました。

それがボアズです。

古代の男性画像

あなたは姑によく尽くしていますね。とても素敵な女性だと思います

実はこのボアズはエリメレクの遠縁の親戚にあたる人物でした。

ルツから知らされたナオミはこの事実に気が付きます。

おばあちゃん画像

ボアズさんは私たちの遠い親戚よ。もしかしたらあなたの身を引き取ってくれるかもしれない。ルツ、あなた、ボアズさんの床に入りなさい

古代の女性画像

分かりました、お義母さん

ルツはナオミの言う通りに、ボアズの寝床へと忍び込みました。

しかし、ボアズはルツには一切触れず、ナオミの意図を理解しました。

古代の男性画像

私は私よりももっとあなたの親族に近い人物を知っています。まずはその方にあなたがたの身請けについてお伺いをたてなければなりません。あなたも身一つでお義母さんの元には帰れないでしょうから、私から贈り物をさせていただきますね

こうしてルツはボアズからたくさんの贈り物をもらってナオミの元へと帰っていきました。

ルツ、ボアズと結婚する

ボアズはナオミとルツにより近い親族に会って話をしました。

古代の男性画像

エリメレクとその息子たちが死んで、その妻たちが未亡人となっています。権利でいうとあなたの方が私よりも彼女たちの身元引受の権利があるのですが、どうしますか?

おじいちゃん画像

いやー、私は別に彼女たちの面倒を見ようとは思いません。その権利をあなたにお譲りしますよ

古代の男性画像

分かりました。では、私がお引き受けします

こうして、ルツはボアズの妻になったのです。

ルツはその後、息子であるオベデを産みます。

このオデベの孫が後のダビデに繋がっていくのです。

『ルツ記』から見る結婚について

『ルツ記』の始まりはルツやナオミが未亡人になることから始まります。

古代イスラエルの考え方として、レビラト婚というものがあります。

※レビラト婚とは、旦那が死亡した未亡人を旦那の兄弟がその妻をめとるという結婚です。

ルツの旦那の兄弟も全て亡くなっていたので、本来の意味のレビラト婚ではありませんが、

学者画像

未亡人を親族で面倒を見るという考え方は根付いていたのではないか?

と考えられます。

これは家系を存続させるために行われていました。

この考え方は以下の民族に受け入れられていました。

  • ユダヤ
  • モンゴル族
  • チベット民族

ルツは異邦人でしたが、このレビラト婚によってイスラエルの民にとって超重要人物であるダビデに繋がる系譜の中に入ることが出来たのです。

そんな有名なダビデ王について詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読み下さい。


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参考:『ルツ記

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