フンババとは?メソポタミア神話を分かり易く解説してみた!

フンババっぽい画像

古代メソポタミアの巨人フンババは、何世紀もの間、謎に包まれてきました。

現存する最古の文学作品の一つである『ギルガメシュ叙事詩』の中で、フンババは杉の森を守り、ウルクの人々を恐怖に陥れる恐ろしく強力な生物として描かれています。

しかし、フンババとは一体何者なのでしょうか?

考古学的な証拠や当時の記述から、

  1. このメソポタミアの巨人の真実
  2. 長い間彼の記憶を保ち続けてきた物語

を明らかにしていきましょう!

フンババとは?

フンババは、メソポタミア神話の『ギルガメシュ叙事詩』に登場する森の番人です。

また、至高神エンリルに名を受け、太陽神シャマシュにより育てられた伝説上の巨人でもあります。

フンババの特徴

フンババの特徴は以下のように描写されています。

  • 彼が誰かに目を向けたとき、それはを意味する
  • 猛獣のような声は洪水であり、口はを意味し、吐息はである
  • 何者かが森に踏み入れば、遠く離れた場所からどんな森のざわめきも聞き分ける

また、残っている彫像の多くの顔は、動物の腸のように一本の管をくねった形で表現されています。

なので、フンババは見るものに不吉な印象を与えているのです。

怖れの的フンババ

こうした恐ろしい形相のために、フンババの顔面を用いた壁掛けなどは魔除けに用いられたとされています。

また、占いにおいても、フンババの相が表れるのは良くない兆候であると判断されました。

このようにフンババは恐怖の象徴のようにも扱われてきました。

しかし、実態は森を破壊する人間への脅威であって、進んで悪事を行うような魔物ではありません。

エンリル画像

フンババは人々の怖れの的だな

エンリルが森を保全するためにそう定めました。

つまり、森の守護者であることが強調されているのです。

フンババの神話

書版によって内容に差異がありますが、全体の大きな流れは同じです。

  1. 困難な目に遭いながらも杉森へ辿り着いた2人の英雄ギルガメシュエンキドゥ
  2. 太陽神シャマシュの手助けもありフンババを倒す
  3. フンババの首を持って帰る

ここからは標準版の内容について分かり易く解説していきます。

杉森へ辿り着く英雄2人

ギルガメシュとエンキドゥは杉森への道を黙々と歩きながら、ギルガメシュは複数回に渡りシャマシュに祈りを捧げていました。

二人が森の入口付近へ差し掛かった頃、

シャマシュ画像

急いでフンババに立ち向かうのだ。彼は今7つの鎧の内1枚しか身に付けていない。彼が森の奥へ隠れてしまわないように、早く…!!

といきなりシャマシュが天から警告を告げたのです。

フンババと出逢う

ギルガメシュとエンキドゥは戦意を奮い立たせましたが、

フンババ画像

ワオォォォォーーーーーー!!!

とフンババが1度叫ぶと辺りに恐怖が満ちました。

さらに、森の守護者フンババは叫び続けました。

2人の英雄は互いを鼓舞し合い、森へと近づいていきます。

フンババ画像

ギルガメシュを我が前まで連れて来たのは何故か?お前は、よそ者である彼と共に立つというのか?わしはお前たちの喉と項を噛み砕き、毎日ハゲタカやワシにそれを喰わせよう

とフンババはエンキドゥにそう言います。

それを聞いたギルガメシュは怖気づきましたが、

エンキドゥ画像

後ろ向きになるな

とエンキドゥに応援され、森番と2人の英雄による戦闘が開始するのです。

フンババ、倒される

両者の動きで大地や木々が裂ける中、シャマシュがフンババの足をとめます。

そして、ギルガメシュの武器がフンババを捕らえると、

フンババ画像

ギルガメシュよ、お前の望むままに木材を与えよう

などと降参して命乞いをします。

エンキドゥ画像

フンババの言うことに耳を貸すな

とエンキドゥは釘をさすので、

フンババ画像

お前の傍にお前の愛する者がいる。そのギルガメシュに言って、我が命を救ってくれ

とフンババは嘆願しましたが、

エンキドゥ画像

友よ、フンババを捕らえよ。そして、絞り上げ、撃ち殺し、粉々に抹殺せよ。エンリルや神々が我々への憤怒で満ちる前に

とエンキドゥは態度を変えることはありませんでした。

フンババ画像

2人を老齢まで生かしてはならない。エンキドゥはギルガメシュ以上に、高齢を得てはならない

と勝ち目がないと悟ったフンババはそう言ったのでした。

そして、どちらかがフンババの内臓を肺まで取り除き、残った頭を金桶(もしくは皮袋)に押し込めたのです。

フンババのその後

ギルガメシュはその後、エンキドゥの死を経て自らの死も意識するようになります。

そして、 だんだんとその恐怖に苛まれるようになるのです。

神々はことあるごとにギルガメシュに

  • 特別な木を盗んだこと
  • フンババを殺したこと

と彼のしたことを思い出させました。

フンババが亡くなったことによって封印が切られた杉森は、度重なる伐採によって木々は減少し、絶滅危惧への一途を辿ったと言います。

フンババ退治の物語は世界最古の自然破壊の記録として後世に残りつつも、ギルガメシュエンキドゥという勇猛果敢な英雄による冒険譚としても語り継がれてきました。

そんな勇猛果敢な英雄による冒険譚『ギルガメシュ叙事詩』についてさらに詳しく知りたい方は、

こちらの記事をお読みください。


参考:フンババ

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