
世界史や日本史で出て来る「暦」の話ってややこしくありませんか?

暦法もよく分からないのにユリウス暦って何だよ!
と意味が分からない人もきっと多いはず!
ですが、きちんと意味を理解しておいた方が確実に「ユリウス暦」を覚えやすいでしょう。
ユリウス暦とは?
ユリウス暦は、共和政ローマの最高神祇官、独裁官、執政官であったユリウス・カエサルに紀元前45年1月1日から始まり、
- 1年=365.25日
- 太陽暦である
といった特徴があります。

ん、太陽暦?
と疑問に思った方は、
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元々は共和政ローマや帝政ローマ(ローマ帝国)の暦です。
しかし、キリスト教の多くの宗派が採用し、西ローマ帝国滅亡後もヨーロッパを中心に広く使用されました。
ローマ教皇グレゴリウス13世が1582年に、

ユリウス暦からグレゴリオ暦を制定する!
として実施しました。
しかし、今でもグレゴリオ暦を採用せずユリウス暦を使っている教会や地域があります。
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グレゴリオ暦を導入した地域では、
- グレゴリオ暦=新暦
- ユリウス暦=旧暦
と呼び分けています。
ユリウス暦の計算方法
実際に地球が太陽の周りを1周する平均日数である
平均太陽年(およそ365.242189 日)=365.25日
とすると、
- 1年を365日とする年
- 4年ごとに1回366日とする年
とがあります。
365日+1/4(0.25)=365.25(日)…1年間の平均日数(平均年)
月はこれまで古代ローマで使われていたローマ暦のものを基本的に受け継いでいます。
なので、月ごとの日数を調整して合計を平年の365日または閏年の366日としました。
閏年はローマ暦時代と同じように2月に入れられました。
ちなみに、ユリウス暦は
- 「紀年法」:元年と1年経過するごとに加算する
- 「暦法」:1か月ごとの日数を決めてから1年の長さと元日を定義する
とある中の「暦法」を採用しています。
ユリウス暦の精度
ユリウス暦と太陽年の差は、2015年時点で
674.832 秒=11分14.832
と1年で約11分ありこれを
86 400秒(=1日)/674.832 秒(1年分のずれの時間)=128.032
となるので、約128年に1日のずれが生まれるという計算になります。
つまり、約1280年で10日ものずれが生まれることになります。
カエサルの活躍した古代ではとても正確な暦でしたが、約1500年が経過した1582年に

いや、さすがに10日以上のずれは多過ぎっしょ
となり、グレゴリオ暦への改暦が行われたのはこれが理由です。
ユリウス暦の閏年
紀元前45年にカエサルがこの暦法を導入した時、翌年の紀元前44年にカエサルが暗殺されてしまいました。

え、閏日ってどこに入れれば…?
とその後に混乱したためか、誤って3年に1回ずつ閏日が入れられました。
この誤りを修正するため、ローマ皇帝アウグストゥスは、紀元前6年から紀元後7年までの13年間に3回分の閏年を停止しました。
紀元8年からは、閏年を正しく4年ごとに入れられていますよ。
紀元前45年から紀元8年までの間に、どの年に閏年が置かれたのか議論になっていましたが、最新の説では

紀元前45年から
となっています。
ユリウス暦の月名
ユリウス暦の1月~12月の月の名前は、ローマ暦のものを受け継いでいました。
例えば、ローマ神話やラテン語の数詞に由来する固有名がありました。
紀元前44年から、7月はユリウス・カエサルの名前に由来して

Julius(Iulius)
と呼ぶようになります。
さらに、彼を継いだアウグストゥスが閏年の扱いを修正した時に、彼の名前にちなんんで8月は

Augustus
となりました。
その名前は形は変われど、現代でも英語・フランス語などのヨーロッパ諸言語にそのまま引き継がれています。
ちなみに、アウグストゥス以降も多くのローマ皇帝が月に自分の名前を付けようとしました。
ローマ皇帝 | 月 | 名称 |
---|---|---|
カリグラ | 9月 | Germanicus |
クラウディウス | 3月 | Claudius |
ネロ | 4月 | Neroneus |
とそれぞれ改名しました。
9月については、アントニヌス・ピウスが「Antoninus」と改名したり、タキトゥスが「Tacitus」と改名しました。
また、11月はピウスの妻の名をとって「Faustina」となったり、「Romanus」となったり。
コンモドゥスに至っては、月に自分の名前を付けるだけでなく、12の月の名を全部変更しました。
そんな改名も、その皇帝の死とともに廃れて行き、すぐに元の月名に戻りました。
結局ユリウス暦で人名が月名となって残ったのは、7月のJulius(Iulius)と8月の Augustus だけでした。
そんなユリウス暦は、正教会(東方教会)などで現在も使用されています。その内容が気になる方は、
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参考:『ユリウス暦』