ユリウス暦とグレゴリオ暦の計算のずれの差はどれだけ違う?
ユリウス暦とグレゴリオ暦は、どちらも暦法の一種です。
どちらの暦法も似通っている部分が多いのですが、暦の計算方法や計算のずれが大きく違います。
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この記事では、
平均太陽年を基準にして、ユリウス暦とグレゴリオ暦の間の計算のずれはどれだけ違うのか?
という疑問にお答えしています。
計算式もかなり細かく説明しているので、数学が苦手な方も理解しやすいはず!
ユリウス暦の計算式
1582年10月4日まで使われていたユリウス暦では1年を365日として、4年ごとに置く閏(うるう)年を366日としました。
これによって、平均年を365.25日としていました。閏年を入れた計算式は、こうなります。
365 + 1/4(0.25)日 = 365.25(日)……1年間の平均日数(平均年)
= 365日6時間 = 正確に31557600秒
しかし、実際に地球が太陽の周りを1周する平均日数である平均太陽年は、
365日5時間48分45.179秒
= 365(日) × 24(時間) × 60(分) × 60(秒) + 5(時間) × 60(分) × 60(秒) + 48(分) × 60(秒) + 45.179(秒)
= 31556925.179秒 ÷ 24(時間) ÷ 60(分) ÷ 60(秒)
= 約365.242189572日
です。つまり、ユリウス暦の1年は、実際の1年間の太陽年に比べて、
365.25日 − 約365.2422日 = 約0.0078日( = 約11分14秒)
長いことになります。
ユリウス暦によるずれ
ユリウス暦は、当時の天文観測水準を考えればかなりの精度でした。
ですが、1,000年以上もこの暦を運用し続けるとずれが生じて来ます。

16世紀末に10日ものずれが生じていたのは、このような理由からです!
このずれは、約128年で1日になり、計算式はこのようになります。
31557600秒/年(ユリウス暦) − 31556925.179秒/年(平均太陽年)
= 674.821秒/年
= 674(秒) ÷ 60(分) + 0.821
= {11(分) + 0.23(分) }× 60(秒) + 0.821
= 674.821秒/年 …… 1年ごとのずれ
24(時間) × 60(分) × 60(秒)
= 86400秒/日(= 1日)
86400秒/日÷ 674.821秒/年 = 128.03年 …… 1日のずれが生じる年数
※上記の計算は2013年時点での計算で、グレゴリオ改暦が議論されていた16世紀中頃の計算とは少し違いがあります。
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グレゴリオ暦の計算式
グレゴリオ改暦が議論され始めていた1560年頃。
その時の平均太陽年は、ユリウス暦だったので約365.2422日でした。
(365.25日 − 365.2422日)× 400年 = 3.12日/400年
なので、ユリウス暦の400年間で100回の閏年に比べて400年間に3回の閏年を省けば、かなり近い値になります。
このため、グレゴリオ暦では400年間に、97回(= 100 − 3) の閏年を置いて、1年の平均日数を
365.2425日 = 365日5時間49分12秒 = 正確に31556952秒
としました。
365日 + 97/400(= 0.2425) = 365.2425(日/年)…… グレゴリオ暦による1年の平均日数
ちなみに、400年間の日数は
365.2425 × 400 = 146097日
であり、この数は7で割り切れます(146097 ÷ 7 = 20871週)。
なので、グレゴリオ暦は曜日も含めて400年周期の暦なのです。
グレゴリオ暦のずれ
本来は400年間で3.12日の閏年の省略とすべきところを3日間の省略としたため、1年間では
(3.12日 − 3.00日)/400年 × 86400秒/日 = 約26秒/年
の誤差が生じます。
365 .2425日/年 (= グレゴリオ暦による1年の平均日数)× 86400秒/日(= 1日) = 31556952秒/年
31556952秒/年(グレゴリオ暦) − 31556925.179秒/年(平均太陽年) = 26.821秒/年 …… 1年ごとのずれ
86400秒/日(= 1日)÷ 26.821秒/年 = 3221.36(年)…… 1日のずれが生じる年数
このように、グレゴリオ暦での平均の1年は、実際に観測される平均太陽年と比べて26.821秒(= 約0.000310428日)だけ長いのです。
このずれが蓄積して、約3221年で1日に達します。
以上のように、
暦法 | 1日のずれが生じる年 |
---|---|
ユリウス暦 | 約128年 |
グレゴリオ暦 | 約3221年 |
とかなり精度が高まりました。
ちなみに、上の計算は平均太陽年が不変であるとした場合のものです。
実際には、平均太陽年は100年ごとに0.532秒ずつ短くなっています。
このため、3221年後には
3221(年) ÷ 100(年) × 0.532(秒)= 17.13(秒)
と約17秒ほど平均太陽年が短くなっていることを考えると、グレゴリオ暦との1日のずれはもっと早い時点で起こります。
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参考:グレゴリオ暦