グレゴリオ暦の導入を採用したキリスト教国3つの特徴とは?
グレゴリオ暦は、今の西暦を形作っている暦法でもあります。

昔の話ではなく、なんと現代でも使われているのです!
そんなグレゴリオ暦についての基本的な概要を知りたい方は、
グレゴリオ暦の起源とは?新暦誕生の歴史を分かり易く解説!
グレゴリオ暦は、今の西暦を形作っている暦法です。 そんなグレゴリオ暦は、意外とイースター(復活祭)にも深く関わっていたりします。 この記事では、グレゴリオ暦の特徴や起源である新暦誕生までの歴史を詳しく解説しています!
こちらの記事をお読み下さい。
この記事では、
- キリスト教に関連したグレゴリオ暦の新年の決め方
- グレゴリオ暦を導入したキリスト教国の特徴
について詳しくまとめてみました!
グレゴリオ暦の新年
グレゴリオ暦は、キリスト紀元(西暦紀元)の年数に基づいて定めるものとして制定されています。

なので、グレゴリオ暦はキリスト紀元と密接な関係にあるのです。
キリスト紀元の正式名称は、「主(イエス・キリスト)の受肉(受胎)から数えた年数」です。
こう考えると、キリスト紀元の新年はイエスが受胎した日(受胎告知日)の3月25日が正当となるはずです。
実際、改暦直前のローマ教皇庁は3月25日を年初とするユリウス暦を使用していました。
ユリウス暦についれさらに詳しく知りたい方は、
ユリウス暦とは?計算方法から月の名前の由来を簡単に解説!
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しかし、グレゴリオ暦はユリウス・カエサルがユリウス暦を制定した当時の新年(1月1日)をその年初とする方法を採用しました。
なので、グレゴリオ暦では常に1月1日にキリスト紀元年数が1つ増えます。
グレゴリオ暦の導入
ユリウス暦と太陽年(実際の季節)にはずれがありました。
どれだけずれがあったのかについては、別記事で詳しい計算をしています。気になる方は、
ユリウス暦とグレゴリオ暦の計算のずれの差はどれだけ違う?
ユリウス暦とグレゴリオ暦は似ていますが、暦の計算方法や計算のずれが大きく違います。 この記事では、2つの暦の間の計算のずれを分かり易く解説しています! 細かい計算式もあるので、数学が苦手な方も理解しやすいはず!
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このずれは、13世紀の哲学者ロジャー・ベーコンが

ユリウス暦ずれてるやん!
と指摘してから、16世紀になって宗教上の問題が顕著になるまでの300年間放っとかれました。
このずれを修正し新しくグレゴリオ暦を制定した後も、それがローマ教皇による発令だったので、その導入時期は国や地域によってまちまちでした。

カトリックの国はわりと早く導入しました!
一方、そうではない国では宗派上の対立もあって、導入に少なくとも100年以上掛かっています。
その結果、正教会の多くは現在も改暦せずユリウス暦を使用し続けています。
ユリウス暦を正教会(東方教会)は現在でも採用している?!
ユリウス暦は、カエサルにより紀元前45年1月1日から始まりました。 そんなユリウス暦が、現在でも使われているって知っていましたか? この記事では、キリスト教国のユリウス暦との関わりについて詳しくまとめてみました!
キリスト教国ではない国は、1873年の日本を初めとしてだんだんとグレゴリオ暦を導入する国家が増えて行きました。
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ここからは、グレゴリオ暦を導入したキリスト教国の特徴について紹介して行きます。
カトリック
グレゴリオ暦を実施した1582年10月15日にすぐにこの暦を導入したのは、カトリック信仰の
- イタリア
- スペイン
- ポルトガル
- ポーランド
です。
フランスは2か月ほど遅れたものの、1582年中に導入しました。
1583年には神聖ローマ帝国のカトリック諸邦で、1584年にはスイスのカトリック諸州で導入されました。
プロテスタント
プロテスタント諸国は、グレゴリオ暦への改暦に消極的でした。
なぜなら、祭事であるイースター(復活祭)の日付を

カトリックが決めた暦によって決められるなんて…
と改暦を嫌ったからです。
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しかし、ユリウス暦の日付がずれており、

ずれた日付を基準にして祭日を決めるのは問題だな…
という認識はプロテスタントの宗教家たちも持っていました。
なので、グレゴリオ暦はプロテスタントにもだんだんと浸透して行きました。

グレゴリオ暦を最も早く導入したのは、ドイツのプロテスタント諸国でした!
復活祭の日付の計算には、プロテスタントのドイツ人天文学者ヨハネス・ケプラーが作成した星表を使っていました。
しかし、ケプラーは

いや、グレゴリオ暦の方が優れてるでしょ
ということを知っていたので、日付計算は全てグレゴリオ暦で行っていました。
このため、改良暦はグレゴリオ暦で計算するのとほぼ同じだったのです。
この妥協は上手く行き、周辺のプロテスタント諸国も

ドイツがそうしてるなら…
とだんだとこれに従い、最終的には全てのプロテスタント諸国がグレゴリオ暦を導入することになりました。
正教会
正教会が優勢な東欧では、導入までにより長い時間が掛かりました。
グレゴリオ暦を使用するフィンランド正教会を除いて、
- エルサレム総主教庁
- グルジア正教会
- ロシア正教会
- セルビア正教会
- 日本ハリストス正教会
を含む正教会は、現在でもユリウス暦を使用しています。
その証拠に、ロシアでは1917年グレゴリオ暦3月に起きた革命を「2月革命」、そして11月に起きた革命を「10月革命」と呼びます。
なぜなら、ロシア革命が起きた1918年までユリウス暦を使用していたからです。

現在ロシア国内では、正教会を除きグレゴリオ暦を使用しています!
なので、ユリウス暦12月25日の降誕祭(クリスマス)は、ロシアのカレンダーでは「1月7日」と表示されています。
参考:『グレゴリオ暦』