金星の女神『アフロディーテー(アプロディーテー)』とは?
ギリシャ神話において愛と美と性を司る女神と言えばアプロディーテー(アフロディーテー)です。
彼女は美について誇り高く、最高の美神とも言われています。
彼女はどのような神様なのでしょうか。
詳しく見ていきましょう!
ウーラノスの男性器から生まれた!?
アプロディーテ―はクロノスが切り取ったウーラノスの男性器にまとわりついた泡から生まれたとされています。
なぜクロノスがウーラノスの男性器を切り取らなければならなかったのかはこちらをご覧ください。
アダマスの鎌を持つギリシア神話の『クロノス』とは何者?
ギリシア神話のゼウスの父親クロノス。彼が持つアダマスの鎌はどうやって手に入れたのか?ギリシア神話上二番目の絶対神にクロノスはどうやってたどり着いたのか? ストーリーを分かりやすくご紹介!
生まれたアプロディーテーの美しさに魅せられた西風が彼女を島へ運んだと言います。
アプロディーテ―が島に上陸すると美と愛が生まれ、それを見つけた季節の女神ホーラたちが彼女を飾って服を着せ、オリュンポス山に連れていきました。
オリュンポスの神々はアプロディーテ―の出自は分かりませんでしたが、彼女の美しさを讃えて仲間に加えたと言います。
アプロディーテーはゼウスの養女になったともされています。
恋多き女神アプロディーテー
彼女は愛と美と性を司っているだけあり、とにかく恋多き女性でした。
しかし、結婚相手はなかば脅されて結婚させられたヘーパイストスというブサイクな神でした。
夫婦仲はあまりよくなく、彼女は浮気を繰り返します。
有名なのはアレースという神とアドーニスという人間との浮気です。
ここでは、アプロディーテーとアドーニスのお話をご紹介させていただきます。
もし、アレースとの浮気話も知りたいわという方は別記事でご紹介していますので、どうぞそちらをご覧ください。
ギリシャ神話の浮気とは?アプロディーテーの浮気話を紹介!
ギリシャ神話の愛と美と性の女神、アプロディーテーが浮気!?愛に生きた女神の恋愛事情とは?エピソードを小説風にご紹介!
アプロディーテー、人間に恋をする
ここでは神であるアプロディテーと人間であるアドーニスという青年の恋愛についてご紹介します。
美しい王女、ミュラー
物語の始まりはとある国の王女様の存在からです。
その国の王族は代々アプロディーテーを信仰していました。
しかし、王女ミュラーはとても美しく、一族の中で

ミュラーの美しさはアプロディーテーを超えているだろう
そしてこれを聞いたアプロディーテーは大激怒。

私より美しい人間がいるだって?ふざけんじゃないわよ!…よーし、じゃあこのミュラーっていう娘が父親に恋をするように仕向けてやりましょう
こうしてミュラーはアプロディーテーによって自分の父親であるキニュラースを愛してしまうようになりました。

私、どうしましょう…。お父様が…好き…。でも、こんなの、いけないわ…
ミュラーはひどく思い悩みました。
そこで自分の乳母にだけ自分の気持ちを打ち明けました。

可哀そうなミュラー様。わたくしにお任せくださいませ
こうして乳母は祭りの夜、キニュラースとミュラーを引き合わせるようにしました。
顔を隠した女性がまさか自分の娘だとは知らないキニュラースはその女性と一夜を共にしてしまいます。
しかし、明かりの下で女性の顔を見たキニュラースは驚きました。

まさかミュラー!お前何をやっているんだ!
ミュラーの顔を見たキニュラースは怒り狂い、ミュラーを殺そうとします。
ミュラーはなんとか父親から逃げ出したのでした。
アドーニス、誕生
キニュラースより逃げたミュラーはアラビアにまでやってきました。
すると、ミュラーを哀れに思った神々はミュラーを木に変えました。
やがて、その木にイノシシがぶつかり、木が裂け、その中から生まれたのがアドーニスでした。
アドーニスはとてつもない美少年で、そのアドーニスに恋をしたのがアプロディーテーでした。

あら、可愛らしい赤ちゃんね。そうだ!ペルセポネ―に面倒みてもらいましょう!
アプロディーテーは赤ん坊のアドーニスを箱の中に入れると、冥界の神ハーデースの妻のペルセポネーに預けました。

よく分からないけれど、とりあえず分かったわ
しかし、結局ペルセポネーは好奇心に勝てず、箱の中身を見てしまいました。

まぁ、なんて綺麗な赤ん坊なの!
なんとペルセポネーもアドーニスに恋をしてしまったのです。
こうして、アドーニスはしばらくペルセポネーによって養育されるようになりました。
アプロディーテーVSペルセポネー
アドーニスが少年に成長するとアプロディーテーが迎えにやってきました。

ペルセポネー今までありがとう。これからは私が彼を引き取るわ
しかし、ペルセポネーもすでにアドーニスに好意を持っていたので、渡したくありません。

嫌よ。彼はこれからも私と一緒に過ごすのよ

何言ってるのよ!
こうしてプロディーテーとペルセポネーは争いになり、ついには天界の裁判所に審判を委ねるまでに発展しました。
その結果、アドーニスは一年間の三分の一をアプロディーテーと過ごし、さらに三分の一をペルセポネーと過ごし、残りの三分の一はアドーニスの自由にさせるということになりました。
この残りの三分の一でアドーニスが一緒に過ごす相手に選んだのがアプロディーテーだったのです。

私が育てたのに、ありえないわ!
この結果にペルセポネーは大層不満だったようです。
ペルセポネーの嫉妬の向かう先

アドーニス、今日も狩りに行くの?
成長したアドーニスは狩りが大好きで、毎日狩りに熱中していました。

狩りは危険よ。もう止めて欲しいわ

そんな…!大丈夫だよ。アプロディーテーは心配しすぎだって
アプロディーテーは度々狩りを止めるようにアドーニスに進言していましたが、それは結局聞き入れられませんでした。
さて、自分よりもアプロディーテーが選ばれることに対して立腹していたペルセポネーが向かった先はアプロディーテーの恋人である軍神アレースでした。
アレースにペルセポネーはこう囁きます。

あんたの恋人はあなたを差し置いて、たかだか人間の男に今頃夢中になっているのよ

はぁ!?なんだって!
ペルセポネーの話に腹を立てたアレースはアドーニスが狩りをしているところに、猪に化けて彼を殺してしまいました。

アドーニス!うそ!いや…!
アプロディーテーはアドーニスの死を大層悲しみました。
やがて、アドーニスの流した血から、アネモネの花が咲いたとのことです。
以上が、アプロディーテーとアドーニスのお話です。
最後の死んだ人の血から花が咲くというお話はアポローンとヒュアキントスのお話にも見られます。
なんだその話?と興味を持たれた方はこちらからご覧いただけたらと思います!
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参考:アプロディーテー