「ヒジャブ」をイスラム教徒(ムスリム)達はなぜ被るのか?

ヒジャブ女性の画像

イスラム教徒の女性がなぜ肌、特に顔を覆うベールを被るのか、多くの人が不思議に思っている。

これは抑圧や後進性、自由のなさの表れだと考える人もいるかもしれない。

しかし、これは真実とはかけ離れている。

{tocify} $title={目次}

ムスリム女性がベールをかぶる理由

ベールをかぶるイスラム教徒の女性は、神と神の命令に対する信念に基づき、自らの選択と確信によってそうしているのだ。

ベール(ヒジャブ)とは、イスラム教徒の女性が顔と手以外の髪、首、体を覆うために着用する様々な形の衣服の総称である。

一部のムスリム女性はニカブも着用する。

ニカブは顔を覆う布で、目だけが見えるようにする。

ヒジャブとニカブは、アラビア語で慎み、プライバシー、道徳を意味するヒジャブの解釈の一部である。

ヒジャブは服装の規範であるだけでなく、信仰や価値観を反映した生き方でもある。

イスラム教は、他者との関わりにおいて慎み深く、敬意を払い、威厳を持つことを信者に教える宗教だ。

ヒジャブは、無関係な男女間の道徳的境界が尊重され、女性が外見で判断されるのではなく、人格と知性で判断されることを保証する。

ヒジャブの意義

イスラム教徒の主な指導源は、預言者ムハンマド(かれに平安あれ)に啓示された神の言葉であるクルアーンである。

クルアーンには、男性にも女性にも、慎み深い服装と振る舞いをするように指示する聖句が含まれている。

神は言われる。

信者の女たちに言ってやるがいい。かの女らの視線を低くし,貞淑を守れ。外に表われるものの外は,かの女らの美(や飾り)を目立たせてはならない。それからヴェールをその胸の上に垂れなさい。自分の夫または父の外は、かの女の美(や飾り)を表わしてはならない。なお夫の父、自分の息子、夫の息子、また自分の兄弟、兄弟の息子、姉妹の息子または自分の女たち、自分の右手に持つ奴隷、また性欲を持たない供回りの男、または女の体に意識をもたない幼児(の外は)。またかの女らの隠れた飾りを知らせるため、その足(で地)を打ってはならない。あなたがた信者よ、皆一緒に悔悟してアッラーに返れ。必ずあなたがたは成功するであろう。

(クルアーン24章30-31節)

これらの聖句は、神が男女ともに慎み深い服装と行動を望んでおられ、自分の美しさや魅力をさらけ出すことから生じる誘惑や嫌がらせを避けるよう望んでおられることを明確に示している。

また、血縁や婚姻関係のない男性(マフラム)の前では、女性は体のどの部分を隠すべきかを明記している。

髪、首、胸、脚などである。

顔と手は隠すべき装飾の一部として言及されていない。

ヒジャブに関する解釈の違い

しかし、ムスリムの学者の中には、この聖句を、女性は特別な用心や嗜好として顔も隠すべきだと解釈する者もいる。

これは、預言者ムハンマド(かれに平安あれ)とその教友たちのいくつかの語りから、かれの時代には、人前に出るときに顔を隠す女性がいたことを示すものである。

例えば、

アイシャ(彼女に神のご加護があらんことを)は次のように報告している。

彼らが近づくと、私たちは頭からジルバブ(大きな外套)を下げて顔を覆った。彼らが通り過ぎると、私たちは顔を露出した。

(スナン・アブ・ダウド)

この記録は、預言者ムハンマド(かれに平安あれ)の時代、道端で見知らぬ人に出会うと顔を隠す女性がいたことを示している。

しかし、これは必ずしも全てのムスリム女性にとって、いつでもどこでも必須の習慣であったことを意味するものではない。

むしろ、文化的な習慣であったり、その時代の状況や環境に影響された個人的な選択であったかもしれない。

従って、ムスリム女性にとって顔を覆うことが義務であるか推奨されるかについて、ムスリム学者たちは異なる意見を持っている。

ある者はクルアーンの節と預言者の物語に基づいて義務であると言い、またある者はクルアーンの節と預言者の物語に基づいて推奨であると言う。

また、イスラームの歴史における正しい女性の例に基づき、推奨されると言う者もいる。

さらに、イスラームにおける容易さと円滑さの一般原則に基づき、許されるが必須ではないとする者もいる。

ヒジャブは何歳から着用する?

一般的に、幼い子どもはヒジャブを着用する必要はない。

イスラム教徒の女性がヒジャブをかぶり始めるのは、思春期が始まる13歳頃が一般的。

しかし、ヒジャブ着用の義務には個人差があり、13歳未満の少女でも着用することがある。

ヒジャブを義務だと考える人もいれば、個人の選択の問題だと考える人もいる。

自発的にヒジャブを着用する女性もいれば、親から強制されたり指示されたりする女性もいる。

したがって、ヒジャブはムスリム女性の間で多様な意見と実践の対象となっている。

なぜヒジャブは必要なのか?

ムスリム女性がヒジャブを着用するのは、イスラム教の教えだけが理由では決してない。

文化的、歴史的影響を含む様々な要因が、ヒジャーブに対する認識を形成してきたのである。

ムスリム女性がヒジャブを着用する理由を掘り下げて考えてみよう。

イスラームにおけるヒジャブの歴史的背景

女性が身を隠す習慣はイスラム教誕生以前から存在し、その伝統はイスラム教の教えに取り入れられていた。

ヒジャブが強制的、あるいは時代に逆行するものであるという認識が変化したのは、欧米の植民地支配がイスラム教徒の多い地域を支配していた18世紀後半からである。

トルコの初代大統領ムスタファ・ケマル・アタテュルクは、西欧諸国に追いつくことを目指し、トルコの近代化に着手した。

その結果、ヒジャブはイスラムのシンボルとして禁止された。

こうした変化をきっかけに、ヒジャブの政治的意義は高まっていった。

しかし、20世紀後半、1979年のイラン革命以降、ヒジャブが義務化され、ムスリム女性のファッションの選択に変化をもたらした。

高学歴女性へのヒジャブの普及

トルコでは1970年代から1980年代にかけて、都市部でヒジャブを着用する女性が急増した。

伝統的に、ヒジャブは農村部や遠隔地の保守的な女性と結びついていた。

しかし、この時期、教育を受けた都市部の女性たちがヒジャブを着用し始めた。

トルコ政府は近代化の一環として世俗的な立場を推進し、大学でのヒジャブ着用を禁止することで反発した。

この禁止令は、ヒジャブを着用する学生やイスラム主義活動家たちの抗議を招き、問題を政治的なものに変えた。

当初、ヒジャブは控えめで暗い色が主流で、農村部や低学歴の女性を連想させる伝統的なイメージと呼応していた。

若者主導のヒジャブファッションの台頭

経済成長によって人々はファッションに投資できるようになり、ヒジャブの多様化につながった。

ヒジャブは次第に、イスラム教徒の女性が受け入れる「ファッションアイテム」へと進化していった。

ヒジャブは、雑誌や映画からオンラインショッピングプラットフォームまで、さまざまなメディアで目にするようになり、ムスリム女性の消費を促した。

ヒジャブファッションの台頭とともに、特にトルコではビジネスが繁栄した。

ヒジャブのスタイルは現代化され、ファッショナブルで魅力的なものになった。

企業は競ってデザインを強化し、オンラインショップを通じてヒジャブの世界的な普及につながった。

この変化はトルコにとどまらず、エジプトやその他の国にも及んだ。

その結果、ヒジャブに対する認識は、教育を受けていない低所得の農村女性というイメージから、教育を受け、経済的に安定した都市部の女性へと変化した。


ヒジャブ初心者の方は、ヒジャブの着方、どんなスタイルを選べばいいのか、どんなアクセサリーを使えばいいのか、迷ってしまうかもしれません。

この記事では、初心者のためのヒジャブの着こなし方のコツと、シーン別のヒジャブスタイルの例をご紹介します。

宗教の哲学を楽しく学べるおすすめ漫画

コーランを楽しく理解したいなら、コーランの漫画がおすすめです。

ビジュアルとストーリーでコーランの教えが魅力的に描かれています。

わかりやすく、楽しい学びの道です。ぜひ試してみてください。

コーラン (まんがで読破)
コーラン (まんがで読破)
Kindle版

イスラームを信じる人々の信仰と生活の基盤である『コーラン』(クルアーン)。彼らには偏見があるが、実際は平等を重んじる信仰である。イスラームを理解するためにはコーランを知ることが不可欠であり、唯一無二の聖典を漫画化。

Amazonで今すぐ購入

また、「終末のワルキューレ」という漫画は、神々が人間を試練にかけるために開始された「ラグナロク」と呼ばれる戦いが描かれた物語です。

この漫画は、様々な宗教的な意味を持つ神話や伝説が登場するため、宗教に興味がある方にもオススメです。

物語の展開がスリリングで、心を掴むストーリー展開になっています。

終末のワルキューレ
終末のワルキューレ 1巻
(ゼノンコミックス)
Kindle版

神々は人類の横暴を許せず、人類滅亡を決定する。そこで、人類史上最強の13人の戦士が選ばれ、神々との13番勝負に勝つことで人類を存続させることになった。人類存亡を賭けた戦いが今始まる!

Amazonで今すぐ購入

以上が、私がおすすめする旧約聖書の漫画と「終末のワルキューレ」の紹介でした。

ぜひ、物語を楽しみながら、漫画の奥にある深い意味を理解してみてください!

コメントを投稿 (0)