ソロモンの指輪とは?動物と話せる指輪のあらすじを解説!
旧約聖書の『列王記』に登場するイスラエルの三代目の王、それがソロモンです。
ソロモンは知恵者としてとても有名で、イスラエル王国の内政を良くし、繁栄をもたらしたことで有名です。
しかし、晩年には贅沢をしすぎるがあまりに堕落した王というイメージもありました。
そんなソロモンについて詳しく知りたい方はまずはこちらの記事をご覧ください。
ダビデの子供ソロモン王とは?ソロモンの知恵の内容を解説
旧約聖書に登場する三代目イスラエル王国の王様のソロモンってどんな人?ミケランジェロの代表作ダビデ像のダビデの息子であるソロモンはなぜ知恵の象徴となったのか?分かりやすく解説!
ここでは、そんなソロモンの伝説的なお話である『ソロモンの指輪』についてご紹介させていただけたらと思います。
『ソロモンの指輪』のその前に
『ソロモンの指輪』は偽典のひとつとされる『ソロモンの遺訓』に記されています。
偽典とは旧約聖書の正典・外典に含まれないユダヤ教・キリスト教の文書のことです。
古代教会において「著者名を偽った書物」という意味でした。
しかし後に「内容も不確かな書物」という解釈を拡大していったため。偽典には異端という否定的な意味合いも含まれていたようです。
面白いのは偽典は旧約聖書に関する文書のみあり、新約聖書に相当するものはないようです。
つまり、この『ソロモンの指輪』についてのお話は教会が認める正式なお話ではないのです。
しかし、数千年の時を経てこうして現代にまで語り継がれてきているというところが凄いことだと思います。
『ソロモンの指輪』のお話
時はソロモンがエルサレムでの神殿を建設しようとしていた頃のこと。

ふーむ。なかなか建設が思うようにいかないぞ。どうしたらいいんだ…!
ソロモンは建設中の神殿が思うように進まず、困り果てていました。

ようし、こうなったら神様にお祈りするしかない。山に登ってお祈りをしよう
こうしてソロモンは山に登り、神であるヤハウェに祈りを捧げました。
ヤハウェについての記事もありますので、よろしければこちらもご覧いただけたらと思います。
ヤハウェの起源とは?ヤハウェ神の真実の正体に迫る!!
かつて神は「ヤハウェ」と呼ばれていました。 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教全てに共通する神(ヤハウェ)とは、どういった存在なのでしょうか? 意外と深い話なので、こういう宗教関係に興味ある方はぜひ!
ソロモンが山で祈りを捧げていると、突然まばゆい光と共に大天使ミカエルが現れたのです。

ミ、ミカエル様!

ソロモンよ、そなたにこれを授けよう
そうしてミカエルが差し出したのが黄金に輝く指輪だったのです。

この指輪によってそなたは地上の悪霊をことごとく封じるであろう。またこの助けによって、そなたはエルサレムを建てることが出来るであろう
こうしてソロモンはこの指輪の力により、多数の天使や悪魔を使役し、神殿を建設することが出来たのでした。
ソロモンは魔法使い?
ソロモンの指輪のお話ではソロモンは指輪を使って天使や悪魔を使役することが出来たということになります。
悪魔を使役することが出来るというのは旧約聖書の正典では一切見られない記述になります。
この時点で少し異端的な内容を含んでいるというのもなかなかに頷けるかと思います。
しかし、旧約聖書に書かれていないだけで、ソロモンがその英知によって悪霊を支配していたという話はヘレニズム期のユダヤ人の間ではしっかりと残っていたようです。
そして、大天使ミカエルから授かったこの指輪には、はめると動物と話せることが出来るという伝説もあります。
ある意味この指輪をはめれば人間ではないもの(動物や天使、悪魔など)を使役することが出来るということを伝えたかったのかもしれません。
このようにソロモンの伝説には人間技を超えてくるようなものも少なくありません。
というのもソロモンは偉大な知恵者であるという伝説から、時代を経て様々な文献が発生するようになるからです。
それらが中世期以降に流布されたグリモワールと呼ばれる魔術書です。
グリモワールには魔術師が悪霊や悪魔を呼び出す術(ネクロマンシー)などについて書かれていました。
有名なグリモワールの中に『ソロモンの鍵』というものもあります。
中世期に流行った書物の先端にはソロモンがいたのです。