旧約聖書の『詩篇(しへん)』とは?簡単に解説してみた!
旧約聖書における『詩篇(しへん)』は実に150篇あります。
これらの詩は全て神であるヤハウェへの賛美の詩として描かれています。
ヤハウェについてはどうぞこちらの記事をご覧ください。
ヤハウェの起源とは?ヤハウェ神の真実の正体に迫る!!
かつて神は「ヤハウェ」と呼ばれていました。 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教全てに共通する神(ヤハウェ)とは、どういった存在なのでしょうか? 意外と深い話なので、こういう宗教関係に興味ある方はぜひ!
ここでは旧約聖書の『詩篇』について簡単に解説させていただきます!
詩篇とは
詩篇に描かれているほとんどの詩は礼拝などで使われる詩と神への感謝の詩に分類することができます。
本来は歌唱を伴い、いくつかのものには曲の調べの指定が注釈として残されています。
現在、ユダヤ人の伝統的楽器を用いて曲を復元する試みなどがなされているようです。
また、キリスト教の伝統的教派では、多くの詩篇は歌唱されるものであり、さまざまな音楽家によって作曲され、多彩な音楽で表現を生む土壌ともなりました。
詩篇の作者は誰?
では、この詩篇は一体誰が書いたのでしょうか。
古代からの伝承ではその多くがダビデの作であるとされています。
なぜなら150ある詩篇のうち73の詩篇の表題にダビデの名が現れるためです。

ダビデ?誰それ?
と思われる方はどうぞこちらの記事をご覧ください。
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しかし、近代聖書学における高等批評という文学分析の一分野では否定されています。
「ダビデの詩」などの表題をダビデ本人が自ら書くことはあまり考えられず、どちらかというとそういう詩は

ダビデに捧げられた詩なのでは?
と考える研究者が多いようです。
モーセ五書などを始めとする法的作品はモーセ、後のグリモワール(魔術書)などに繋がるような知恵的作品はソロモン、そして詩篇など音楽と歌はダビデに帰するということによる権威付けの意義も考えられていました。
モーセやソロモンについて知りたい方はどうぞこちらの記事をご覧ください。
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祈祷としての詩篇
詩篇はそれぞれが祈祷文として使われることがあります。
ユダヤ教やキリスト教において詩篇を朗読するとは、定式化された文章による祈祷、それも多くは歌唱を伴うもの(讃美歌や聖歌)が行われることを指します。
ユダヤ教徒は毎日、節に分けて(一週間で一巡するように)朗読します。
またシナゴーグ(ユダヤ教における教会的存在。会堂)での礼拝では、定められた詩篇が朗読されます。
この習慣はキリスト教の諸教派にも継承されていて、カトリック教会、プロテスタントの伝統的な教会などでは教会の祈り、改定共通聖書日課(キリスト教の典礼で聖書のどこを読むかを定めた聖書日課の一つ)、またはそれに相当するものに沿って『詩篇』の読むところを選び、礼拝の中で読まれることが多いそうです。
詩篇ってどんな文章
では実際に詩篇ってどんな文章なのでしょうか。
例として実際の詩篇第1篇第1巻をご紹介します。
1幸いなことよ
悪しき者のはかりごとに歩まず
罪びとの道に立たず
嘲る者の座に着かない人。
2主のおしえを喜びとし
昼も夜も そのおしえを口ずさむ人。
3その人は
流れのほとりに植えられた木。
時が来ると身を結び
その葉は枯れず
そのなすことはすべて栄える。
4悪しき者は そうではない。
まさしく 風が吹き飛ばす籾殻(もみがら)だ。
5それゆえ 悪しき者はさばきに
罪びとは正しい者の集いに 立ち得ない。
6まことに 正しい者の道は主が知っておられ
悪しき者の道は滅び去る。
…いのちのことば社発行『新約聖書2017』
ご紹介したのはほんの一遍ですが、聖書にはこの他にまだ149篇の詩が載っています。
お気に入りの詩を聖書から見つけ出すのも楽しいかもしれませんね。
そしてもしかしたらそのお気に入りの詩にメロディーがついて歌われているかもしれません。
どうぞ色んな形で詩篇を楽しんでいただけたらと思います。
参考:詩篇、『新改訳聖書2017』いのちのことば社