ギルガメシュ叙事詩と聖書の関係?洪水伝説は本当にあった!

ギルガメシュ叙事詩と聖書の関係?洪水伝説は本当にあった!

洪水伝説と言えば旧約聖書に描かれている『ノアの方舟』が有名ですよね。

しかし、なんとギルガメシュ叙事詩の物語の中にもこの『ノアの方舟』にとてもよく似た洪水伝説が出てきます。

そちらのお話をさせていただけたらと思います。

ちなみに旧約聖書に出てくる洪水伝説の『ノアの方舟』のストーリーはこちら。

永遠の命を追い求めるギルガメシュ

そもそもなぜギルガメシュ叙事詩の中に洪水伝説の描写が登場するのか。

物語の流れを抑えておきたいと思います。

ギルガメシュは親友であるエンキドゥが亡くなってから、死が怖くなり永遠の命を求める旅にでます。

ギルガメシュと親友エンキドゥとの関係性や二人の冒険物語の記事もございますので、こちらも合わせてご覧ください。

永遠の命を求めたギルガメシュの旅の目的はウトナピシュティムに会うことでした。

このウトナピシュティムこそ洪水伝説に欠かせない重要人物なのです。

永遠の命を手に入れたウトナピシュティム

さて、なぜギルガメシュがウトナピシュティムに会いたがっていたかというと、彼こそ洪水伝説の生き残りであり、それゆえに神より永遠の命を与えられたものだからです。(ちなみに彼の妻も永遠の命を与えられています)

ギルガメシュがウトナピシュティムに不死の秘訣を尋ねるのですが、ウトナピシュティムは

ウトナピシュティム画像

神様によって造られた者は絶対に命は定められている

とギルガメシュに諭します。

そして、なぜ彼が永遠の命を得られたかの理由について、つまり洪水伝説について語りだすのです。

六日間続いた洪水

ウトナピシュティムが洪水を免れることが出来た理由はエア神からあらかじめ洪水が起こることを夢で教えてもらっていたからです。

そのため、彼は大きな船を造り、彼の家族、船大工、全ての動物をその船に乗せて、ニシルの山の山頂に避難したそうです。

六日間続いた洪水により人間は粘土となり、洪水が収まるとウトナピシュティムは船を開け、乗船者を解放した後で神々に生贄を捧げました。

すると、生贄の匂いにつられたのか、多くの神様が集ってきた…というのがお話の顛末です。

しかし、この洪水で生き残った人間がいると知るとエンリル神は怒ったそうです。これに対して、ウトナピシュティムに夢を見せたエア神は

エンリル画像

今は助かった者たちに、助言を与えるべきだろう

と言って諭したとのことです。

ちなみに、エンリル神やエア神などのメソポタミア神話の神々達を一覧表にした記事もありますので、そちらでご確認いただけたらと思います。

こうしてウトナピシュティムとその妻は神々より永遠の命を与えられたのです。

旧約聖書の『ノアの方舟』との相違点

とっても似ているこのギルガメシュ叙事詩に出てくる洪水伝説と旧約聖書に出てくる『ノアの方舟』ですが、もちろん全く一緒というわけではありません。

なので、『ノアの方舟』と具体的に何が違うのかを考えていきたいと思います。

まず第一に、洪水が起こるということを神様より知らされるのは二つとも同じですが、知らされる方法が違います。

『ノアの方舟』の場合、神様がノアに洪水が起こることを伝え、方舟を造るべきとの教えまで与えます。

しかしギルガメシュ叙事詩の洪水伝説だとエア神がウトナピシュティムに夢を見せただけであり、方舟を造ることを決めたのはウトナピシュティム自身なのです。

方舟を造ることを決めたのは誰か…という点がそもそも違うのです。

そして第二に、洪水期間の長さです。

『ノアの方舟』だと四十日間続いたと言われていますが、ギルガメシュ叙事詩の洪水伝説だとたったの六日間です。

人類が滅亡しそうなほどの洪水が起った事は同じですが、その規模感は少し違うのかなという印象があります。

そして最後です。旧約聖書は一神教ですが、メソポタミア神話は多神教という違いが出ています。

このギルガメシュ叙事詩の洪水伝説でエンリル神が生き残った人間がいることについて怒ったというのはとても面白い部分です。

多神教ならではの人間を救いたいと思う神もいれば、そう思わない神もいるのです。

鈴木園子画像

神であってもそれぞれ人格があり、話し合いをしているというのは旧約聖書にはないところだと思います。

以上色々違いはありますが、大筋はほとんど同じですし人類を滅ぼす程の洪水が起こったというのはあながち間違いではないでしょうか。

ギルガメシュ叙事詩のあらすじをまとめた記事もありますので、よろしければそちらもご覧ください!


参考:ギルガメシュギルガメシュ叙事詩